篠原金融塾 コメンスメント グローバルマーケットウィークリー 5/30/2025
- 篠原竜一
- 5月31日
- 読了時間: 3分
連邦準備制度理事会(FRB)が公表した連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(5/6-7開催分)によると、FRBは、大幅な関税引き上げが物価を押し上げ、インフレを加速させるリスクがあると懸念を示している。
経済の不確実性が高まり、失業率とインフレ率の上昇リスクが増大したことから、現行の様子見姿勢の政策スタンスを維持したとのことだ。ということは、関税政策の経済への影響が明確になるまで、慎重なアプローチをとるということであり、FRBが近いうちに利下げする可能性は低い。
加えて、失業率とインフレ率の上昇リスクが増大ということは、「スタグフレーション」への懸念を強めている。
現在のアメリカの政策金利は4.50%。FRBは、2025年末の政策金利見通しを3.9%と予測、2026年には3.4%まで低下する可能性があるとの見方を示しているが、議事要旨を読む限り、政策金利見通しは今後上方修正されてもおかしくない。
来週の欧州中央銀行(ECB)理事会では、ユーロ圏のインフレ率が低下を続けていることを背景に0.25%の追加利下げが実施され、中銀預金金利は2.00%に引き下げられ、年末予想は、1.75%というのが市場のコンセンサスだ。
日本銀行の政策金利は、0.5%程度で据え置かれている。また、2025年度の成長率見通しを0.5%に下方修正し、インフレ率の予測も引き下げており、今後の金利政策は慎重になるだろう。
グローバルマーケットは、引き続きボラタイルな展開が続くが、現在の金利水準は、米国10年債4.40%、ドイツ10年債2.50%、日本10年債1.50%。
10年債のアメリカとドイツの金利差が約2%、アメリカと日本の金利差は約3%、ドイツと日本の金利差は約1%。
アメリカの金利は高止まり、ドイツの金利は低下、日本の金利は横這いもしくは上昇、すると考えると、金利差は、アメリカとドイツは拡大、アメリカと日本は横這いもしくは縮小、ドイツと日本は縮小する可能性が高い。
特にアメリカのマーケットがボラタイルな展開が続くと考えれば、アメリカ中心の日本からの海外投資の、ヨーロッパへの分散投資を検討するには為替のヘッジコストも縮小しており、良い環境となってきている。
ハーバード大学とトランプ政権の対立が激化、双方の主張は平行線をたどっているが、アメリカの大学での卒業式が行われている。アメリカでは、卒業式のことを”Commencement” (コメンスメント)と呼ぶが、「始まりを祝う、門出を祝う式典」、という意味を知った時には良い言葉だと感激した。
大学で学んだことを生かし、社会でリーダーシップを発揮し、これからの世界をより良いところにするために頑張ろうって、とても前向きになれるイベントだ。若い人たちの夢や希望が政治的な混乱を吹き飛ばしてくれることを期待したいものだ。

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