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篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 11/26/2021

オミクロン株。原油価格どころではなくなった。マーケットは、新型コロナ感染拡大の終息から経済再開をテーマに動いてきたが、パンデミックは、まだ終わっていなかった。


世界的に株式市場は下落、このところ大きく売られていた米国債は買い戻され、イールドカーブはフラットニングした。


オミクロン株の報道がある迄のマーケットのテーマは原油価格だった。アメリカ政府は、アメリカや日本など数カ国が国家戦略石油備蓄を放出することを明らかにした。産油国にとっては、1バレル80ドル前後は維持したいレベルであり、増産を求められても簡単に受け入れられるものではないものの、今後の市場の注目は原油価格動向と思っていたが、それよりも大きなニュースが飛び込んできた。


日本では新型コロナウイルスの感染者が激減しているが、世界では感染者が急増しているのは先週お伝えした通り。加えて、世界保健機関(WHO)は、アフリカ南部で初めて確認された新たな新型コロナウイルス変異株について、「懸念される変異株(VOC)」に指定し、再感染リスクが高いことが初期データによって示されたことを明らかにした。


「オミクロン株」は、南アフリカで感染が急拡大しており、専門家は、他の変異株よりも感染力が強い可能性があるとの見方を示している。欧州での新型コロナ感染再拡大を受け、アメリカでも感染が再度拡大すればロックダウンが導入されるとの懸念が台頭していたが、ニューヨーク州のホークル知事は26日、新型コロナウイルスの感染拡大と入院率の上昇を理由に非常事態を宣言した。


量的緩和の縮小を始めたばかりのFRBにとっては、頭の痛い話だ。金融政策の正常化ペースを調整せざるを得なくなるかもしれない。FRBだけではなく、世界中の中央銀行は、オミクロン株が世界経済に与える影響を無視することは出来ないだろう。


30日にはパウエルFRB議長とイエレン財務長官が議会証言を予定している。オミクロン株について、突っ込んだコメントをすることはないだろうが、何らかのコメントをするとすれば、「その影響を注視する」ということであり、利上げの織込みを剥がしにいく展開もありそうだ。既にホリデーシーズン入りしたアメリカ。トレーダー達も年末を控え市場の動きに無理に逆らう必要はない。短期的には思った以上に株が調整し、それを受けて債券が大きく買い戻される可能性もでてきた。