篠原金融塾 アメリカの高等教育 グローバルマーケットウィークリー 5/9/2025
- 篠原竜一
- 11 分前
- 読了時間: 3分
米連邦準備制度理事会(FRB)は7日、政策金利の据え置きを決めた。これにより、FRBには予防的利下げを行うという考えがないということがはっきりした。利下げは短期的に物価上昇圧力を一段と高めてしまう恐れがあるとFRBは考えているのだろう。
パウエル氏は、記者会見で政策金利を維持し、当面様子見することのリスクの小ささを強調した。FRBは、トランプ政権の関税政策が国内物価にどう影響するか見極める必要があるということだろう。今後アメリカの企業が人員削減に動くような展開となり、労働市場が急速に冷え込むようなことになれば話は別だが、FRBは、政策金利であるフェデラルファンド金利(FF金利)の誘導目標を当面の間4.25~4.50%に据え置くことになるだろう。
一方、欧州中央銀行(ECB)は、需要鈍化と労働市場軟化を主因に利下げを継続しているが、EUは輸入品に対する関税を大幅に引き上げていないことがアメリカの状況とは大きく異なる。ECBの中銀預金金利は2.25%だ。ECBについては、9月まで0.25ポイントの利下げを続け、中銀預金金利を1.5%まで引き下げるとの見方が市場に広まっている。
米系投資銀行はFRBが夏以降利下げを実施すると予想する向きが多いが、パウエル議長の記者会見を聞く限りそんな感じはしない。関税政策次第では、短期的には企業収益を押し下げる可能性もあるが、FRBは当面様子見姿勢を続けるだろう。
グローバルマーケットは、この相場に慣れてきたのか落ち着きを取り戻したように見えるものの、引き続きボラタイルな展開が続くだろう。
アメリカで気になる動きは高等教育に対する圧力だ。今後何十億ドルもの研究助成金の停止や、外国からの資金や留学生の調査、大学の免税資格の取消しなどのリスクを抱えている。
アメリカの高等教育の最大の強みは、様々なバックグラウンドを持つ学生が世界中から集まり、自由闊達に議論、主流と異なる見解を持つ学生の意見も尊重されることだと思う。米政権からの要求を受け入れることは、高等教育機関にとっては非常に厳しいものだ。だからと言って、高等教育機関が米政権とぶつかり続け、何十億ドルもの研究助成金を停止されることは、アメリカ、世界にとって大きな損失であり、何としても避けてほしいと思う。

株式会社ランプライターコンサルティングは、当サイトに掲載している情報の正確性について万全を期しておりますが、その内容について保証するものではありません。当サイトでは、信頼できる情報源から得た情報を、確実に掲載するようあらゆる努力をしておりますが、株式会社ランプライターコンサルティングは、間違い、情報の欠落、あるいは、掲載されている情報の使用に起因して生じる結果に対して一切の責任を負わないものとします。当サイトに掲載されている全ての情報は、その時点の情報が掲載されており、完全性、正確性、時間の経過、あるいは、情報の使用に起因して生じる結果について一切の責任を負わないものとします。また、あらゆる種類の保証、それが明示されているか示唆されているかにかかわらず、また業務遂行、商品性、あるいは特定の目的への適合性への保証、また、これらに限定されない保証も含め、いかなることも保証するものではありません。
Comments