top of page

篠原金融塾 欧米の金融政策 グローバルマーケットウィークリー 4/18/2025

トランプ米政権が「相互関税」を発動してから初の理事会で、欧州中央銀行(ECB)は、政策金利を0.25%引下げ、中銀預金金利を2.5%から2.25%にすることを決定した。


公表した声明文で、欧州経済は「貿易摩擦の激化で成長見通しが悪化している」との認識を示した。ラガルド総裁は、欧州の成長力を高めるため財政政策の必要性も訴えた。


ECBは、インフレリスクよりも景気失速リスクを重視したということだ。


ECBは、アメリカがヨーロッパからの輸入品に25%の関税を課した場合、最初の1年でドイツやフランスなどユーロ圏の経済成長率を0.3%押し下げると試算している。ヨーロッパが報復関税に動けば0.5%と経済損失は一段と膨らむと想定しており、マーケットでは、ECBが年内さらに3回の利下げを実施、政策金利は年末には1.5%まで低下するという見方が広まっている。


一方、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長にとっては非常に難しい対応が求められている。


大規模な関税引き上げが不確実性を高め、アメリカの景気減速リスク、景気後退リスクが高まっているのは事実だろう。従って、ECB同様利下げが必要だという見方もできる。しかしながら、関税引き上げが実施されるとすれば、その規模が大きいため、アメリカでは、多くの輸入品の価格が大幅に上昇する可能性があり、インフレリスクを、より注意する必要がある。FRBは、景気減速リスクが高まる中でも政策金利の据え置きを実施せざるを得ない可能性が高い。ドル安傾向が続けば更に輸入物価を押し上げることになる。おそらくFRBには当面様子を見ることしかできないだろう。


実際に、パウエル議長は、FRBとして利下げを「急ぐ必要はない」と述べている。5月に開催される次回の連邦公開市場委員会(FOMC)では、利下げは実施されず、政策金利は、据え置かれるというのが市場のコンセンサスだ。労働市場が本格的に悪化しない限り、FRBが利下げを実施することはないだろう。


しかしながら、そう決めつけることもできないのかもしれない。トランプ政権の政策が二転三転する中、今後の注目は、今後もFRBが中央銀行として、トランプ政権からのプレッシャーに負けずに、金融政策を実施できるかということだろう。


いずれにせよ、グローバルマーケットは、今後もボラタイルな値動きが続くものと思われるが、方向としては、ヨーロッパの金利は引き続き低下方向、アメリカの金利は高止まりの状況が続きそうだ。


日本の金利は上がるのだろうか?それとも下がるのだろうか?よくわからない。朝起きてアメリカの株式市場、米国債市場で何が起きているか見ながら、右往左往する展開が続きそうだ。


株式会社ランプライターコンサルティングは、当サイトに掲載している情報の正確性について万全を期しておりますが、その内容について保証するものではありません。当サイトでは、信頼できる情報源から得た情報を、確実に掲載するようあらゆる努力をしておりますが、株式会社ランプライターコンサルティングは、間違い、情報の欠落、あるいは、掲載されている情報の使用に起因して生じる結果に対して一切の責任を負わないものとします。当サイトに掲載されている全ての情報は、その時点の情報が掲載されており、完全性、正確性、時間の経過、あるいは、情報の使用に起因して生じる結果について一切の責任を負わないものとします。また、あらゆる種類の保証、それが明示されているか示唆されているかにかかわらず、また業務遂行、商品性、あるいは特定の目的への適合性への保証、また、これらに限定されない保証も含め、いかなることも保証するものではありません。




Comments


会社ロゴ.gif
株式会社ランプライターコンサルティング
〒107-0062 東京都港区南青山2-2-15 ウィン青山942

info@lamplightercstg.com

© 2024 Lamplighter Consulting Inc.

All Rights Reserved.

bottom of page