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執筆者の写真篠原竜一

篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 12/10/2021

米国債市場は、週末のCPIを嫌気し米国金利は上昇、イールドカーブは大きくスティープニングしている。一方、株式市場での「オミクロン株」への警戒感は足許和らいでおり、グローバルに株式市場は堅調に推移、原油価格も若干戻している状況だ。


今週は年内最後のFOMCが予定されており、市場参加者の注目は再びアメリカのインフレや金融政策の動向に戻ってきた。そんな中、金曜日に発表された11月のアメリカのCPIは前年同月比6.8%上昇と、39年ぶりの大幅な伸びを示した。市場がより重視するコアのCPIは前年同月比4.9%の上昇となった。アメリカのインフレ動向は、FRBが目標としている2%を一時的に上回る内容だとは到底思えない状況になってきている。


セントラルバンカーがコメントを求められれば、より広い範囲での物価の上昇圧力を注視しないと、労働市場の急回復に伴う需要の増加や賃金の上昇で、インフレ圧力が更に高まる可能性があると言わざるを得ない状況だ。FRBが来春の利上げ時期を前倒しするためには、14-15日に行われるFOMCにて、資産買い入れ額を減額して縮小ペースを加速させる決定を行う必要があるだろう。FOMCの声明文、パウエルFRB議長の記者会見の中身はよりタカ派的な内容になると市場参加者は思っていた方が良いだろう。


市場参加者の中にはFRBによるテーパリングのペースの加速、利上げ時期の前倒しについては、市場はそれなりに織り込んでいるという向きも少なくないかもしれない。と言うことは、FOMCという大きなイベントを乗り越えてしまえば、年末に向かって株式は更に高値を試す可能性もある。


しかしながら、気をつけた方が良い。39年ぶりのインフレ率の上昇を軽く思わない方が良い。エコノミストもトレーダーもこんなにインフレ率が上昇する経済とマーケットを39年ぶりに見ているのである。インフレ率の上昇が世の中にどのような影響を与えるかは本当のところよくわからない。特に殆どのトレーダーにとっては利上げ相場も初めてであり、ベアマーケットを知らないトレーダーも多い。


金融政策の当事者はその対応に頭を悩ましているだろう。毎月10兆円ほど安定的に購入しているFRBによる債券の購入の減額のペースを加速し、調達金利を思ったより早く引き上げるとすれば、その市場への影響は小さくないということを知っているからだ。





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