篠原金融塾 日本の金利上昇はまだ始まったばかり? グローバルマーケットウィークリー 5/24/2024
連邦準備制度理事会(FRB)が公開した5月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録では、参加者たちは、インフレ率が持続的に低下するためには、需要の伸びがこのところの力強いペースから鈍化する必要であり、高い金利の効果が過去と比べて小さくなっている可能性があるなどとして、現在の金利がインフレを抑え込むのに十分な水準かどうかは不透明だという議論をしていたことがわかった。明らかにタカ派な内容だ。
一方、ドイツ連邦銀行(中央銀行)のナーゲル総裁は、主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で、6月の欧州中央銀行(ECB)による利下げ開始の可能性が高まっているとの見解を示している。賃上げ率が高止まっていることも事実で、悩ましいところであるものの、FRBよりもECBが先に利下げを始める可能性がいよいよ高まってきた。
そんな中、鈴木財務相は、長期金利が12年ぶりの水準まで上昇したことについて、「経済情勢、金融政策、投資家の見通しやセンチメントなどさまざまな要素がある。低金利のもとで、国債発行することができたこれまでとは異なる金利のある世界が到来した」と述べた。
その通りだと思う。
日銀は、長期国債の買入れについては、どこかで削減の方向性を示し、ETFやJ-REITについても方針を公表し、バランスシートの圧縮を進めていく。
ETFやJ-REITについては、日銀は市場を壊すようなことはしないだろうし、鈴木財務相が言う通り、金利ある世界に戻れば、国内の機関投資家が日本国債市場に戻ってくるとの見方もある。たしかに、日本の機関投資家による外債投資は大きな含み損を抱えている状況で、うまくいっていない。キャピタルアロケーションという意味では外債から日本国債へという動きはあるのかもしれない。
日本株の含み益でその他有価証券のポートフォリオの含み益が維持できている機関投資家が殆どである状況下、日本国債が慎重なポートフォリオ運用の運用先となればよいが、金利が今後も上昇していく中、その市場を支えるような買いは本当に入ってくるのだろうか?
日本の金利上昇はまだ始まったばかりではないだろうか?
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