篠原金融塾 長期金利の上昇、プライベートクレジット グローバルマーケットウィークリー 5/15/2026
- 篠原竜一

- 5月17日
- 読了時間: 3分
長期金利の上昇(債券価格は下落)が世界的な動きになっている。米労働省が12日発表した4月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比3.8%上昇と、高い伸びとなったことを受け、米利下げ観測がほぼ消えて米金利が上昇し、日欧の金利にも波及している。
そんな中、プライベートクレジットという巨大なマーケットが怪しくなってきた。
プライベートクレジットとは、銀行融資や社債のような公開市場ではなく、非公開(プライベート)で行われる企業向け融資のことだ。貸し手は銀行ではなく、プライベートエクイティ(PE)ファンドや専門のクレジットファンド、BDC(中小・中堅企業に融資したり投資したりするために作られた投資法人)などの投資ビークル。借り手は、中堅企業やレバレッジドバイアウト(LBO)で買収された企業など、資金需要はあるが市場での調達が難しい企業が中心だ。
リーマンショック後、銀行は規制が強化され、リスクの高い企業への融資を絞らざるを得なくなり、その空白を埋める形でファンドが融資ビジネスに参入した。結果として、現在では1.4兆ドル(約220兆円)規模にまで成長している。
気になるのは、連邦準備制度理事会(FRB)が金融安定性報告の中で「システミックリスクは限定的」と結論づけていることだ。解約が相次いだ個人投資家向けファンドについても、上位BDCは銀行の信用枠や現金を十分に確保しており、四半期5%の償還であれば3四半期分は耐えられるという。
リーマンショックの時にも同じようなことを聞いたような気がする。FRBが気にするのは常に金融システム全体だ。確かに金融システム全体としては大きな問題にならないのかもしれない。しかしながら、信用力の弱い企業にとっては資金調達コストの上昇や資金繰りが大きな問題となるだろう。
プライベートクレジットマーケット全体の規模は1.4兆ドル(約220兆円)に達し、当時のサブプライムローンの残高を上回っている。NAV割れが続くBDC株価、FSKのジャンク級格下げ、KKRによる異例の優先株取得。気になる。
現状日本の多くの投資家がプライベートクレジットを保有しており、アメリカの信用サイクルの変調が日本の投資家のポートフォリオにまで影響を及ぼすことは確実だ。金利の高止まり、AIによる産業構造の変化、個人投資家マネーの逆流。繰り返しになるが、FRBが言うようにシステミックリスクは限定的かもしれない。しかしながら、特定のセクターと企業が大きく痛めば、そこからじわじわとマーケット全体に広がっていくことは確実だ。
プライベートクレジットという巨大なマーケットから目が離せない。

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