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篠原金融塾 気にすべきはFRBのバランスシート縮小 グローバルマーケットウィークリー 5/6/2022

3日、4日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を50bp引き上げ、0.75~1.00%にすることを決定した。パウエル議長は会見で「委員会では、今後数回の会合で50bpの追加利上げが検討されるべきだという感触が広がっている」と述べた。


加えて、6月1日に国債、政府機関債、政府機関発行の住宅ローン担保証券(MBS)の保有高の縮小を始めることを決定した。保有する米国債やMBSについては、公開市場での売却ではなく、償還金の再投資を見送る方法で保有高を削減する。6~8月に毎月の圧縮幅を最大で米国債は300億ドル、MBSは175億ドルとし、その後は米国債600億ドル、MBSは350億ドルとする。


パウエル議長は、50bpの連続利上げの可能性について記者会見で述べたので、マーケットは利上げに対する準備をすることは可能だ。しかしながら、市場参加者にとってより大きな懸念は、FRBのバランスシートの縮小が、マーケットに、実体経済にどんな影響を与えるのかということだろう。パウエル議長自身が「バランスシート縮小による影響については、極めて不透明だ」と答えていることに注目する必要がある。


不透明感が高まれば、市場のボラティリティは上昇する。事実FOMC後には株価は大きく上昇したが、その翌日には全く逆の動きとなり、大きく下落した。米国債金利も落ち着きを取り戻すかと思われたが、米10年国債金利は、再び3%台乗せを示現した。パウエル議長にはそのような考え方はないようだが、マーケットにはFRBによる75bpの利上げが必要だったと考える向きも存在する。FRBがBehind the curveだという見方が広がるとすれば長期債には更なる売り圧力がかかり、イールドカーブがスティープニングするリスクも出てきた。10年債金利は更に上昇してもおかしくない。


市場参加者は11日に発表予定の4月の米消費者物価指数(CPI)に注目している。3月のCPIは、前年比+8.5%、コアCPIは+6.5%だったが、仮にこれを下回る結果となれば、株式市場、債券市場共に一旦落ち着きを取り戻すのでは? 何はともあれ、ボラタイルな展開は続く。


日本はこれからどうなるのだろう?


週末発表された米雇用統計は、非農業部門の就業者数は前月から42万8,000人増、失業率は前月変わらずの3.6%、時間当たり賃金は、前年比+5.5%と引き続き堅調な内容だった。FRBによる利上げは今後も実施されるだろう。


そんな中、いよいよ日本の物価も2%近い上昇になってきた。日銀のみならず、株式市場では、「円安をプラス要因にした好決算が目立つので、これが株価を支えそうだ」という識者も多い。しかしながら、何度も指摘してきたように需給ギャップがマイナスな状況下、物価が大きく上昇することはないという前提が崩れているのではないだろうか?現実に物価は大きく上昇している。


これからも円安が進むとすれば、輸入物価はこれからも上昇する。人口動態を考えると今後も需要減は続く。そして財政政策にも金融政策にも限界がある中、日本の成長を今後引っ張っていくような、潜在成長率を押し上げるようなものが生みだせない限り、現在の円安は日本にとって相当なダメージになってしまうような気がしてならない。




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