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執筆者の写真篠原竜一

篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 4/19/2024

中東情勢は緊張が続いている。シリアにあるイラン大使館が攻撃され、イラン革命防衛隊(IRGC)の司令官らが死亡した報復として、イランがイスラエルを攻撃し始めた。今のところはサウジアラビアとUAEは情報を共有し、イランの大規模な空爆への防衛を行っているようだが、パレスチナ人の犠牲者が約3万4000人に上るなか、いつまで続くのだろう。イランはアメリカを標的にするつもりはなく、アメリカはイスラエルの報復行動には参加するつもりはないと表明しているが、イスラエルとイランの衝突がエスカレートすればどうなるかはわからない。


地政学リスクが高まっている時は、何が起こるかわからないので、リスクの縮小が基本だが、エコノミストたちは、アメリカの経済成長率、労働市場、インフレ率、そして将来の金利水準に関する予想を上方修正している。


経済成長率は、政府支出や移民の増加などを主因に、予想を上回って推移しており、エコノミストの間では来年までリセッションはないとの見方が一般的になってきている。


労働市場については、エコノミストは相変わらず、雇用が間もなく減速すると予想しているが、雇用の増加幅も予想を大きく上回っており、アメリカの労働市場は健全だ。


エコノミストは、FRBがインフレ率を2%の目標まで抑え込むことに成功すると考えているが、2024年のインフレ率見通しを小幅に引き上げている。


経済成長率が鈍化の兆しをほとんど見せず、インフレ率がFRBの目標である2%を上回ったままであるため、金利は下がるどころか足許では上昇している。政策金利の見通しのコンセンサスは年内2回の利下げ、4.75%となっている。


日本銀行にとっては最高の展開だろう。アメリカ経済が堅調なうちに金融政策の正常化を進めることが出来る。ドル円は154円台まで買われており、連続利上げを行う絶好のチャンスだ。


植田和男日本銀行総裁は19日、米ワシントンで講演し、基調的なインフレ率は日銀が目標とする2%を下回っており、長期的なインフレ期待も1.5%近辺にとどまっているため、当面は緩和的金融政策を維持する必要があると引き続き慎重姿勢を崩さないが、同時に、われわれは慎重に政策を進め、最近の政策変更が経済と物価に及ぼす影響を評価し、適切と判断すればさらなる調整を検討する必要があると述べたことに期待したい。


日本では、新しい年度が始まったが、新入社員からの退職代行依頼が相次いでいるというニュースが目立つ。ある代行会社には、入社から10日、65人の新入社員から依頼があったという。


厚生労働省が公表している「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」によると、大卒新入社員のなかで、3年以内に退職してしまう割合は32.3%という結果がでているが、早期離職率は、過去30年の間でほとんど変化していないそうだ。従って、何を大騒ぎしているのだろうと思いながらも、入社直後に退職を希望する新入社員の退職理由には、どのようなものがあるのだろうかが気になった。


事前の会社説明で言われていた内容と実態が違ったという退職理由が多いとのことだ。自分がやりたかったことではないため、キャリアプランが不安になり、目標としていた仕事を探し直したいということであれば、とても全うな理由だが、メンバーシップ型の採用を行っている会社に就職しながら、これを言われてしまうと会社側も困るだろう。仮にメンバーシップ型の採用とジョブ型の採用を学生が混同しているというのであればそれは会社のみならず、大学でも早急に学生にその違いを徹底することが必要だ。しかしながら、ジョブ型採用を行っている会社で採用したにもかかわらず、このような理由で退職する新卒社員がいるということは会社側の責任が大きいということは管理職たちがきちんと理解しておいたほうが良い。


何はともあれ,新入社員の皆さん、明るく楽しく元気よく!


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