篠原金融塾 トランプ関税 グローバルマーケットウィークリー 3/28/2025
- 篠原竜一
- 3月29日
- 読了時間: 3分
トランプ大統領が輸入自動車への25%の追加関税を発表した。世界的な供給網再編でアメリカの製造業を活性化し、アメリカ経済の構造転換を図るというトランプ大統領の戦略だ。
この構造転換が実現すれば、より強いアメリカ経済と株高がやってくるというのが、トランプ大統領の考えだが、市場参加者は、個人消費の減速と予想インフレ率の上昇から、景気悪化と物価高が併存するスタグフレーションへの警戒感を高めている。ダウ工業株30種平均は前日比715ドル安での越週となった。
戦後、関税と貿易に関する一般協定(GATT)に基づき、国際貿易への障壁が引き下げられ、世界貿易は急増、グローバリゼーションが進み、インフレ率を押し下げる主因となった。その結果、国際的な競争は激化し、発展途上国に生産拠点が移転、先進国、特にアメリカの産業を空洞化させることに繋がったというのがトランプ政権の考え方なのだろう。
この分析が間違っているというつもりはないが、先進国は安い労働力を活用しながら、その恩恵もあったはずだろう。どう考えても、短期的にはトランプ関税は、アメリカの貿易の利益を損ない、インフレ率を押し上げ、生産や設備投資に負の影響を与え、生産性が下がることは明らかであり、GDPを押し下げるだろう。
既にヨーロッパや中国、カナダなどからアメリカ製品をターゲットにした報復措置を発表しているが、各国が対抗処置をとることにより、更に世界経済に与える影響は大きくなる。加えて、連邦政府職員の削減と移民の減少はアメリカの消費をさらに下押しする可能性がある。
このように短期的には良いニュースがない。各国が報復関税をかけることにより、アメリカ同様その国の生産性を下げてしまうことになる。
中央銀行にとってもそのかじ取りは難しくなる。物価の上昇を主因に景気が悪化する局面で金融政策は後手に回るだろう。世界の株式市場が高値を試していただけに、その反動も大きくなる可能性もでてきたと考えておいたほうが良いだろう。
大きな問題は、トランプ大統領がグローバルマーケットの主人公である限り、材料が出尽くすことがないということだろう。不確実性が高まり、ボラタイルな展開は続く。

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