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篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 3/18/2022

米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げが16日にいよいよ実施され、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が25bp引き上げられた。FRB当局者による政策見通しは大きく修正されている。昨年12月時点の見通しでは、年末時点の金利予想(中央値)は0.875%だったが、今回の会合で1.875%に見通しが修正された。ということは、年内残り6回の会合で毎回25bpの利上げを見込んでいるということだ。利上げは来年も続き、2023年末時点では、2.75%まで引き上げられると予想している。


FRBのこの見通しが正しければインフレ率の今後の動向次第では年内行われる会合にて、25bpではなく、50bpとより大幅な利上げを実施する時が来るかもしれない。先週の米2年債は約20bp売られ、1.942%、10年債は約16bp売られ、2.153%での越週となったが、年末のFF金利誘導目標の予想が1.875%なので、2年債の下値はここからは限られる可能性もある。一方10年債はというと、今後のインフレ指標次第だが、FRBは、国債、政府機関債(エージェンシー債)、住宅ローン担保証券(MBS)の保有高の縮小開始について今後の会合で話し合うことになっている。FF金利が上がっていくだけではなく、今後はセカンダリー市場でFRBが売り手に回ることになるということだ。


先行きの景気減速懸念から米国債のイールドカーブは逆イールドになるという米国債のストラテジストもいるが、その議論は少し早すぎるのではないだろうか?インフレ率の上昇が止まらなければFRBによる利上げ幅はより大きくなり、加えてFRBが売り手に回るのだから、特にエージェンシー債、MBSのスプレッドはワイドニングするだろう。足許はウクライナ情勢に一喜一憂するボラタイルな展開が続くことが予想されるが、アメリカの金利上昇はまだ始まったばかりだと私は思う。