篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 3/14/2025
- 篠原竜一
- 3月16日
- 読了時間: 4分
トランプ大統領の一人舞台だ。
ロシアのウクライナ侵略について協議するアメリカとウクライナによる高官協議で、アメリカ側が提案した案をウクライナ側が受け入れた。アメリカは、一時停止していたウクライナへの情報共有を直ちに解除し、軍事支援を再開するとした。
これに対し、ロシアのプーチン大統領は、「停戦には賛成だが、長期的な平和につながり、危機の根本原因を除去するものでなければならない」と述べた。停戦案に対し、ロシアの要求が満たされる場合にのみ受け入れるという「条件付き支持」の立場を示した。
ロシア・ウクライナ問題が進展したと信じたいが、プーチン大統領の主張は変わっていない。「危機の根本原因の除去」、1)ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟の永続的放棄、2)軍備縮小、3)反露政策の放棄、が条件になるとすれば、ウクライナがこの条件をすぐに合意するとは思えない。
中東情勢も心配だ。米軍が、紅海などで船舶への攻撃を繰り返してきたイエメンの親イラン武装組織フーシ派の拠点を空爆した。トランプ米大統領は自身のSNSで、フーシ派が船舶への攻撃をやめなければ「地獄が降り注ぐだろう」と投稿し、後ろ盾のイランに対しても「即座にフーシ派の支援をやめなければならない」と警告した。
加えて、トランプ大統領は、経済的にも影響は避けらない政策を次々に実施している。政府職員の大量レイオフ、予算削減、移民取り締まりの強化、主要貿易相手国に対して大規模関税と各国による報復関税と報道を追いかけるのも大変だ。
市場では、トランプ大統領の政策が経済に深刻な打撃を与える可能性に懸念が強まっているが、市場参加者は、リスクを縮小する以外に対抗手段がないようだ。
金曜日の米株は値を戻したものの、頭は重く、高値からの調整局面入りと言ってもよいだろう。市場参加者は、欧州の債務懸念もでてきている中、米国債や金のような伝統的な安全資産のアロケーションをヘッジとして増やす必要があるかもしれない。
同時にアメリカの景気減速懸念は少し大げさな気もする。根拠はないが、そもそも政治がそんなに簡単に景気を押し上げたり、悪影響を与えたりできるのだろうか? また、トランプ大統領の公約にある減税や規制緩和も始まるだろう。いづれにせよ、トランプ大統領の言動に右往左往する展開が続きそうだ。
今週の日本はメジャーリーグ一色だと思っていたが、石破首相の事務所が自民党衆院1期生15人との会食に際し、土産名目で1人当たり10万円分の商品券を配ったことが最大の話題となっている。首相は、ポケットマネーだと断言、商品券は議員と家族をねぎらう趣旨だったとして「法に触れるものではない」と記者団に強調。もはや秘書に責任を取らせることは出来ない。違法かどうかは司法の場で決めてもらえば良いが、「それはまずいです」と誰もアドバイスする人がいないということが、さらにまずいのでは?
2025年度予算案の国会審議が気になる。予算案自体は、すでに衆議院を通過しているので、野党が参院で審議を引き延ばしても憲法の規定で参議院送付の30日後の4月2日に自然成立するが、野党は「国民の金銭感覚とのずれ」を追及するだろう。年金制度改革など重要法案の審議も控える中、国会でこんなことを議論しているのは残念だ。

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