篠原金融塾 ドイツ総選挙 グローバルマーケットウィークリー 2/28/2025
ドイツの総選挙が2月23日に実施された。独選挙管理委員会によると、投票率は82.5%と2021年の前回から6.1%上昇し、1990年の東西統一後で最も高い水準になった。
最大野党会派の中道右派キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が得票率28.6%で第1党となった。CDUのフリードリッヒ・メルツ党首(69)が次期首相になる見通し。CDU・CSUに続き、極右ドイツのための選択肢(AfD)が得票率20.8%で2位、現与党の中道左派・社会民主党(SPD)が同16.4%で3位、緑の党が4位、左派党が5位となった。
SPDにとっては、過去最悪の結果、CDU・CSUも得票率を伸ばし、第一党になったものの、思ったように票を伸ばすことは出来ず、中道左派・右派共に苦しい選挙結果となった。
一方、AfDは、過去最高の得票率で初めて第2党になった。旧東ドイツ地域のベルリンを除く地域で首位となった。左派党も若者を中心に得票率を伸ばし、8%を獲得。
SPDと連立を組んでいた緑の党は環境政策の後退を批判され、自由民主党(FDP)は5%の議席阻止条項を0.1%差で割り込む歴史的敗北を喫した。
メルツ氏は、どのような政府にするかはこれから決めることになるものの、連立する相手はできれば1党にとどめたいと話している。AfDとの連立は否定していることから、CDU・CSUはSPDと連立を組む可能性が高いだろう。メルツ氏は、キリスト教の復活祭(イースター、今年は4月20日)までに組閣したいと話した。
CDU・CSUとSPDの2党で過半数を超える結果となったことはマーケットでは良い結果と受け入れられているが、一言でいえば中道政党が議席を減らし、右派・左派が議席を増やしたということだろう。右派的な政策が議会で通りやすいことは明らかであり、安定した政権運営を期待したいが、今後も目を離せない状況が続く。
週末にはアメリカからニュースが飛び込んできた。トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との会談が行われたが。記者団を入れた会談の冒頭で激しい口論になり、予定していたウクライナの資源権益に関する協定への署名を見送られ、共同記者会見も中止となってしまったというニュースだ。
ウクライナには、チタン、マンガン、卑金属、石炭などが豊富に埋蔵されている。資源開発から得られる収益の50%を拠出する基金の設立は、ウクライナのインフラや公共サービスの再建に大きく貢献することが期待されるため、交渉決裂でこのまま終わるということは考えにくい。
グローバルマーケットのボラティリティは高まっているとしか言いようがない。会談決裂の報が流れると株式市場は、下値を試す展開となったが、その後ショートカバーが入り、結局上げ幅を拡大しての越週となった。
アメリカの1月の個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比2.5%上昇した。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前年比2.6%上昇。前月の2.9%上昇から減速する結果となった。加えて、1月は個人消費支出が予想外に減少。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ再開は6月になるとの見方が広まってきた。カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で発生した大規模な山火事に加え、トランプ政権が進める関税措置や大幅な支出削減などの政策も経済活動に影響を及ぼしている可能性があるかもしれない。
株式市場はグローバルに不安定な状況となっている。トランプ米大統領が、自動車やその他の輸入品に対する25%の関税をかけると表明。中国への追加関税をさらに10%上乗せするとも述べた。世界の貿易摩擦が激化するとの懸念が高まり、不安定な相場展開となっており、ボラタイルな展開が続くものと思われる。

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