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篠原金融塾 米連邦公開市場委員会(FOMC) グローバルマーケットウィークリー 9/23/2022

新型コロナウイルスの世界的大流行による需給の不均衡、食品とエネルギー価格の上昇、幅広い物価圧力を反映し、インフレ率が高止まりしている中、ロシアの対ウクライナ戦争がインフレを一段と押し上げる圧力を生み出し、世界の経済活動を圧迫している。


FOMCは、最大雇用と、長期的に2%のインフレ率の達成を目指す。こうした目標を支えるため、委員会はフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を3.00~3.25%に引き上げ、目標レンジの引き上げを継続することが適切だと判断した。さらに、FOMCは、5月に発表した「FRBバランスシートの規模縮小プラン」に示した通り、国債、政府機関債、政府機関発行の住宅ローン担保証券(MBS)の保有高の縮小を継続する。委員会はインフレを目標の2%に戻すことに強くコミットしている。


政策見通しでは、年内あと2回のFOMCで、125ベーシスポイント(bp)の利上げを実施、年末のFF金利の誘導目標は4.25~4.5%に達するとの見通しを示した。加えて、23年末のFF金利の誘導目標については、4.5~4.75%との見通しを示した。


私が注目したのは24年末の見通しだ。約3分の1のFOMCメンバーが24年末までFF金利の誘導目標が4%を超える水準にとどまると予想していることだ。仮に22年末に4.25%にFF金利の誘導目標が引き上げられ、それが24年末まで続くとすると4%以下の水準の米国債に興味を示す投資家は少ないだろう。そんなリスクをとらなくてもマネーマーケットで運用すれば4%のリターンが得られるわけで、米国債金利はまだまだ上がる。


そんな中財務省は、22日、1998年6月以来、約24年ぶりとなる円買い・ドル売りの為替介入を実施した。日銀が金融政策決定会合で大規模な金融緩和を維持することを決めた。日本国債が売られると日銀は円を刷って日本国債を買い支える。その円が売られると財務省が円を支えるためにドル売り・円買い介入を行う。日本国債は日銀が支え、円は財務省が支える。最強タッグだ。


円売り・外貨買いの場合は国債発行を通じて国内の金融市場から円を調達し、介入に充てる。財務省がマーケットから資金を調達できる限り、介入の原資は無限大だ。一方で、今回実施された円買い介入の場合は売るための通貨として外貨準備が充てられるため、外貨準備高が上限とされる。とは言っても日本の外貨準備高は1兆2,920億ドル(約180兆円)もあるため、短期的に大きな問題になることはないだろう。民間の投資家は、余程の覚悟を持って当局と喧嘩するつもりがなければ勝てない。


しかしながら、こんなことを本当にやっていて良いのだろうか?日本のマーケットは蚊帳の外だ。市場原理に基づかず、当局が金利も為替水準もコントロールするマーケットからはリスクマネーは逃げていくだろう。日銀が日本国債を買い支えるのをやめて日本国債金利の上昇を容認すれば良い話なのではないだろうか?国を開放してインバウンド需要を増やすことに力を入れれば円に対するニーズは戻ってくるはずだ。


鈴木俊一財務大臣は、「投機による過度な変動が繰り返されることは決して見過ごすことができない」と言っているが、投機による過度な変動を作り出しているのは日銀だ。対前年比40%も上昇している輸入物価による影響を放置することによる日本経済への打撃を防ぐために財務省が円買い介入をするより、黒田日銀総裁と話した方が良いのではないだろうか?


世界の金利はまだまだ上がる。





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