top of page
執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

全国学力テスト中止へ 多くの小中学校休校のため

新型コロナウイルスの影響で延期になっていた全国学力テストについて、文部科学省が2020年度の実施を中止する方針を固めた。全国学力テストは、毎年4月、全国の小学6年生と中学3年生の児童・生徒およそ200万人を対象に行われているが、新型コロナウイルスの影響で3月、延期が発表されていた。

中止の理由は以下の通り。

1:依然としてコロナウイルスは収束しておらず、全国で約6割の小学校が休校

2:再開後も児童生徒が落ち着いた学校生活を取り戻すのに、相当の期間が必要

3:指導計画や行事計画を大幅に見直すことが必要で、全国一斉に実施可能な日程を新たに設定するのは難しい

4:教育委員会や校長会など主要団体も、中止を求める意見が大勢

この中止の決定に異議を唱える者はいないだろう。安全第一だ。しかしながら、全国学力テストは、求められる学力を現場に浸透させる上で、この全国学力テストは大変大きな役割を果たしているそうだ。先生たちは、自校の教育活動の効果検証や改善のツールとして有効活用していたという。

確かに基礎学力を図るうえでは効果的な指標なのかもしれないが、今こそ学びとは何か、学力とは何かを議論してほしい。

先日も紹介したが、科学史家 村上陽一郎氏は、一部の権威ある人々がすべてを決定した時代とは異なり、今社会にとって何が合理的なのかを最終的に判断するのは市民だという。だからこそ、個人の良識や常識、健全な思考に私たちの未来はかかっていると再認識すべきだと主張する。そして、『分からないこと』と真摯に向き合い、問い続ける。その継続によって良識は養われると述べている。本当にそうだなあと思う。

同時に良く考えると何だか大変な時代がやってきたとも思う。


本当に市民が社会全体を考え、何が合理的か最終的に判断することが出来るのだろうか?


我々はそこまで賢いのか?

ますます教育が重要なのは明らかだ。しかしながら、どんなに教育を充実させても、あらゆる事柄について何が合理的なのかを最終的に判断するなんて無理だろう。

こんな大変な状況でも、エッセンシャルワーカーと呼ばれる人たちの懸命の努力でこの社会は支えられている。今回の新型コロナの前線では、何が正しいかはわからないが、勇気を持って、困難な問題に挑戦し、諦めずに治療し、必ず病気を治すという気持ちで働いている人達が沢山いる。

こういう人達の頑張りが無駄にならないようにするためには、やはり、それぞれの分野のリーダーが必要だと思う。そして、皆で協力し、この危機を乗り越えた時には、間違いなくこの世界は、この日本は、よりよいところになっているはずだと信じている。

小学6年生、中学3年生という多感な時期に国は緊急事態宣言を発出せざるを得ない状況になった。この子どもたちからは様々なメッセージが送られてきているはずだ。

先生も含め大人が心掛けることは子ども、生徒からのメッセージをきちんと聴いてあげるということだ。そして、これは実に難しいことだが、まずは共感しよう。人は、特に子どもは、自分のことを理解してくれている、わかってくれていると感じない限り、本当のことは話してはくれないものだし、話は聞いてくれない。

子ども 「どこかに遊びに行きたいね!」


保護者 「何馬鹿なことを言っているの、外出禁止。部屋で勉強でもしなさい。」


子ども 「。。。」

という会話が殆どだろう。でもこの会話の後に勉強する子どもはいない。

子ども 「どこかに遊びに行きたいね!」


保護者 「学校も休校で退屈だよね。どこかに遊びにでも行かないと気分も晴れないよね。」


子ども 「そうなんだよ。でも危ないかな?」


保護者 「無症状の人も多いっていうから、知らない間に感染する可能性もあるし、危ないって思うけど、外出する時の良い感染防止策があるか調べてみてよ」


子ども 「そうだね。調べてみるね。」

そんな会話できるかっていう保護者が多いのは分かっている。だけど、子どもだって遊びに行くのが良くないことだってことはわかっている。

子ども 「調べてみたけど、大変だよ。イタリアとかアメリカのお医者さんたちが投稿しているけど、世界はとんでもないことになっている。外に行くのは怖いよ。マスクしていても感染を防ぐことは出来ないって!」


保護者 「そのお医者さんたちが言っていることは正しい情報だとは思うけど、もっと調べてみてよ。マスクについてももっと調べてみてよ。外出する時にはどうすれば良いのか?スーパーで買い物をするには何に気を付ければ良いかな?」


子ども 「わかったよ。調べてみるね。」

子どもの話を良く聴き、共感することにより、子どもにとって退屈な1日を変えることが出来るはずだと思う。

教育の現場で出来ることはもっとあるはずだ。


リモート学習もビデオを観て、課題を提出するだけでは面白くない。こういう時だからこそ、リサーチする時間はたっぷりとれるので、科目横断的にテーマを設定し、生徒たちが自分達で、1、情報を収集し、2、仮説検証を繰り返し、3、分析し、4、判断し、5、決断し、6、実行する、そんなプロジェクトに取り組むのが良いと思う。

とても有意義な学びになるはずで、結果として来年の全国学力テストの成績は大幅に良くなるはずだ。


また、文部科学省は、不正防止策などについては十分検討する必要があるが、来年の全国学力テストは生徒がリモートでテストを受けられるように準備を進めるべきだろう。

閲覧数:38回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page