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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

暇なときに パウエル議長の公聴会でのスピーチ

ブラックマンデー、日本のバブルの崩壊、リーマンショックの時に「何かおかしくない?」と感じていた人は少なくなかった。しかしながら「専門家が大丈夫って言っているから大丈夫だろう。まあいいか!」と流してしまったことを後悔している人たちは少なくないはずだ。リーマンショックでは、アメリカでは600万人の人が家を失い、800万人が職を失った。


世界各国で規制が強化されたため、あんな酷いことは二度と起こらないと私も思っている。何も起こらず、ワクチン接種が進み、新型コロナ感染拡大が収まり、経済活動が本格的に再開、そして治療薬が開発されることがメインシナリオだと期待したいが、同時に今こそ「本当にこれで良いのか?」と考えるべきマーケットだと私は思う。


パウエル議長の上院銀行委員会でのスピーチは、当面現状の金融緩和政策を変えるつもりはないというものだった。


株式市場は安心感が広がり、引き続き上値を試しそうだ。投資家はFRBが当面の間、毎月米国債を800億ドル、モーゲージ債を400億ドル買い続けることを忘れてはいけないが、米国債はまだまだ売られ、金利の上昇は続きそうだ。


パウエル議長の認識は、経済はFRBの雇用とインフレの目標に程遠く、そうした基準の達成にはしばらく時間がかかる可能性が高いというものだ。FRBはゼロ近辺の金利と大規模な資産買い入れを通じ、当面経済の下支えを継続する。パウエル議長は、FRBの金融政策がアセットバブルとインフレを引き起こすリスクについては、一定の関連性があると認めたものの、それでも今のアメリカに必要なことは、最大雇用の実現だと強調した。従って、新型コロナ感染拡大前の水準に労働市場が回復するまでは、FRBによる現在の金融政策が変更される心配はない。


斯かる状況下、アメリカの財政赤字の拡大は止まらない。バイデン政権による追加経済対策案が実施されれば、単年度の赤字額は総額4兆ドルを超えることになる。


どう考えてもやりすぎだ。


一般物価はなかなか上がらない世の中になった。パウエル議長が言うように、インフレ率の上昇を心配する必要はそれほどないのかもしれない。しかしながら、アメリカでは、新型コロナ新規感染者数が減少してきているのは間違いないが、それでも毎日5万人以上が感染している。そのアメリカで金融資産の価格の上昇は続いている。


「何かおかしくないか?」という人に対しての「FRBが当面現状の金融政策を継続する限り、過剰流動性が市場を支える」という説明はおそらく正しいでしょう。金融市場に少しでも不安が出てきたら、市場が混乱しないように世界中の中央銀行が支えてくれるはずだと。


でも、やっぱり「何かおかしくないか?」と思う私はおかしいのでしょうか?





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