暇なときに 篠原金融塾                ~名目金利と実質金利の関係について~

更新日:2019年5月9日

熟練の債券投資家でも定期的に行っている頭の体操があります。それは名目金利と実質金利の関係です。


「名目金利=実質金利+物価上昇率」 「実質金利=名目金利-物価上昇率」


そんなこと知っているという読者が多いはずです。しかしながら、私自身は30年もやっていたのに時々わからなくなります。


市場参加者が米国債を売買すると言うときは、名目金利を売買するということです。そして、「米国債が昨日買われた、売られた」と言うときの主語は米国10年債です。


米国10年債の5/3/2019の引け値は、2.53%です。これを分解してみると、

名目金利(米国10年債)2.53% = 実質金利(米国10y物価連動債)0.62% + 物価上昇率1.91%、ということになります。


米国10年債という名目金利水準を議論する時に考えるべき実質金利、物価上昇率とは何なのでしょう? 


今後10年間実質金利(期待実質金利)がどういうレベルで推移するか、今後10年間物価上昇率(期待インフレ率)がどういうレベルで推移するかを予想することが必要になります。


ここまでくると、私がいつも思うことは、10年間の期待実質金利っていうのは、10年間の期待収益率と同じだということです。従って、10年間の期待収益率、10年間の期待インフレ率、を考えることにより、債券市場の理解が深まることは確実です。


名目金利(米国10年債)2.53% = 実質金利(米国10y物価連動債)0.62% + 物価上昇率1.91%、をもう一度考えます。


2019年初めは、名目金利(米国10年債)2.66% = 実質金利(米国10y物価連動債)0.95% + 物価上昇率1.71%、でした。


金利は13bp低下、その内訳は期待実質金利(≒期待収益率)が33bp低下、期待インフレ率が20bp上昇しています。


年初来、アメリカの期待収益率が低下(リセッションリスク上昇)したことを主因に金利が低下したと言えます。先週末の雇用統計を見る限り、労働市場は予想を上回る強さを示しているものの、賃金のデータが市場の予想を下回っているという状況です。


とすると今後金利が下がるとすれば、期待インフレ率の低下が、金利が上がるとすれば、実質金利(≒期待収益率)の上昇が注目されるはずだという結論になります。


アメリカ経済のリセッションリスクを指摘する識者が多かった1q2019。連銀は超低金利政策正常化のペースを鈍化しました。


2q2019は金利が大きくは動かないものの、1qとは少し違う値動きになるような気がしてきました。


私はマーケットが良くわからなくなると、こんな単純なことを難しい顔をしながら考え、マーケットを見ていました。AIには勝てそうにありません。




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