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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 11/27/2020

最近日本でもブラックフライデーと言う言葉を耳にするようになった。感謝祭にはメイシーズパレード、そして、その翌日は、ニューヨークマンハッタンの5th Avenue, Avenue of the Americasなどでは、大きなテレビを抱えた人たちが朝6時前には歩いていたことを思い出す。私は、毎年この日は、朝早く、まだ暗いうちから店を開けるので、ブラックフライデーと呼ぶのだと思っていたが、どうやら違うらしい。感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日にあたる日で、アメリカの小売業界が1年で最も黒字になる日だからこう呼ぶことになったそうだ。


いよいよアメリカの年末商戦の幕開けだ。速報では、実店舗で買い物をする顧客数は前年比52%減、同時にネットでの買い物は前年比22%増となっている。新型コロナウイルス感染拡大で、実店舗に買い物に来る顧客数が減ることは予想されていたものの、2-3割減を予想する声が多かったので、予想以上に減少している。一方ネットでの購入額は過去最高だ。


米議会は、早い段階で、家計への現金給付や失業手当ての上乗せ、小規模企業やワクチン開発を支援する融資など総額3兆3000億ドルに上る一連の経済対策を迅速に成立させ、第2第3四半期の経済を支えたが、その後は追加支援策の規模を巡り、共和党と民主党が対立している。バイデン政権が始動するまで追加支援策が決まらないとなると大変だ。


FRBは危機感でいっぱいだ。アメリカが、2021年第一四半期にはマイナス成長に陥ると予想するエコノミストも出てきた。ファンダメンタルズ的には米国株式市場が史上最高値を試していることを裏付けることが出来る材料がない。しかしながら、潤沢な、そして行き場のない流動性、並びに公的機関に支えられていることに加え、12月中旬にアメリカ人に対してのワクチン接種が本当に始まるとすれば、更に上値を試す展開になるかもしれない。


このように世界中の中央銀行が自国の景気を支えるために株式市場におカネを突っ込んでおり、当面株式市場が大崩れすることはなさそうだ。しかしながら、さすがに来年第一四半期が本当にマイナス成長になるようだと市場はネガティブに反応せざるを得ないだろう。今後発表される経済指標は来年を占う意味でとても重要だ。


そんな中、バイデン次期大統領が、次期財務長官にジャネット・イエレンFRB前議長を充てる方針を固めた。FRBにとっては、最高のニュースだろう。金融政策の限界を財務省に対して説明する必要がなくなる。新型コロナウイルス拡大を受け、失業率が急上昇する状況下、今のFRBのメンバー、誰よりも労働経済学に明るいイエレン氏が財務省のトップに立つ。どんなスピーチを行うか、今から楽しみだ。


イギリスでは、クリスマス翌日、ボクシングデーがブラックフライデーに良く似ている日だろう。この日から一斉セールが始まる。日本でも最近は多くの店がブラックフライデーセールを勤労感謝の日に併せて開催するようになっているが、アメリカほどの盛り上がりはない。


世界各国の年末商戦の行方は来年の景気を占う意味でとても重要だが、新型コロナの影響が気になる。個人消費に占めるネット経由の買い物のシェアが年々伸びていることは良いニュースだが、一方でモールなどの実店舗の売り上げが気になる。


また、本来であれば、個人諸費が活発化するこの時期に、多くの国が経済よりも感染防止に重点を置かないといけない状況になっているのが気になる。日本でもGo to キャンペーンを見直さざるを得ない状況だ。


東京都は、「急速に感染が拡大していて、極めて深刻な状況になる前に感染拡大防止策を早急に講じる必要がある」、また、「今後、重症者、重症患者数の増加が予想され、通常の医療体制との両立が極めて困難になると思われる」状況だと認識、飲食店に対し、再び営業時間短縮を要請することになった。毎年この時期はライトアップが始まり、イルミネーションなどの夜景が人気のスポットではどうしても人出が増える。東京駅・丸の内中通りのイルミネーションは素敵だ。見に行きたくなる気持ちは良くわかる。年末に向けての時短要請は、本来稼ぎ時である飲食店にとっては非常に厳しい。加えて東京がGo to トラベルから除外されるのも時間の問題だろう。折角戻り始めた客足が鈍る。営業時間短縮要請が出るような状況では、自主的に会合や旅行をキャンセルする人達が出てくる。短期的には日本経済を大きく下押しすることは確実だ。


With コロナの生活に慣れてきたことから、緊急事態宣言が発出された4月のように国民の意識を変えることは難しい。ということは、「何となく自粛」、「じりじり感染拡大」が続きそうだが、そのダメージは小さくない。




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