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執筆者の写真篠原竜一

篠原金融塾 SBIとNovastar Ventures グローバルマーケットウィークリー 11/03/2023

米連邦準備制度理事会(FRB)は、連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標5.25~5.50%に据え置いた。利上げ見送りは2会合連続となり、利上げ打ち止めの可能性も出てきた。


しかしながら、アメリカの経済成長が加速する中でインフレが鈍化したことについては、まだ納得できる分析ができない。従って、次回のFOMCでの利上げの可能性を排除することは難しい。


加えて、世界の2か所で戦争が行われている状況だ。グローバルマーケットは行ったり来たりの展開が予想される。


日銀は長短金利操作(イールドカーブコントロール、YCC)の運用方針を変更し、長期金利の絶対的な上限だった1.0%を「上限のめど」に修正した。今後は指値オペの水準を適宜決定するという。ということは、実質的にはYCCからの撤退が始まったと考えてもよいのではないかと私は思う。


仮に私の見方が間違っていなければ、マイナス金利の解除のタイミングが次の大きなテーマとなるだろう。マイナス金利の解除のためには、2%の物価安定目標の持続的・安定的な達成が必要だと多くの識者が言う。でも、そんなことを言っていたら利上げのチャンスを逃してしまうかもしれない。日銀が2%の物価安定目標の持続的・安定的な達成が可能だと見解を示せばマーケット、実体経済がその動きについてくるのではないだろうか?


そんな中、凄いニュースが飛び込んできた。SBI ホールディングスが、アフリカの最大手のベンチャーキャピタルであるNovastar Venturesとアフリカ大陸での投資事業における戦略的資本提携契約を締結したという。


SBIは、Novastarが運用するファンドに40百万米ドルを投資、さらに日本の投資家からの資金調達をサポートするという。加えて、SBIは、Novastarの株式を一部保有する。一方でNovastarはアフリカでの長年の投資経験と存在感を活かし、SBIとの共同投資の機会を推進し、アフリカ市場に対する知見の提供を行う。


2050年には世界の4人に1人がアフリカ大陸に暮らす時代となる。その人口は25億人と予想されているが、日本は人口減少を伴う少子高齢化が加速、2050年代にはいよいよ1億人を下回る。アフリカ大陸の抱える社会課題を解決できずに人口が急増すれば様々な困難が成長を阻害するだろう。しかしながら、その成長のポテンシャルは大きな魅力だ。その社会課題を解決するためにアフリカ大陸発の様々なイノベーションが起こるのはもはや時間の問題だろう。


シリコンバレー、欧州大陸、中国からのアフリカのスタートアップへの投資が続いている中、日本勢は大きく出遅れているが、SBIとNovastar Venturesの戦略的資本提携契約締結のニュースは素晴らしいことだ。日本からの投資資金がアフリカのスタートアップへの投資を通じてその課題を解決、エコシステムに参入していくワクワクする話だ。どんな形で花開くのか楽しみにしたい。



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