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執筆者の写真篠原竜一

篠原金融塾 日本の名目GDPは世界第4位に グローバルマーケットウィークリー 10/27/2023

グローバルマーケットは、地政学リスクに加えて、連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀の金融政策決定会合を控えており、どちらか一方には動きにくい展開が続いている。


そんな中、日本のドル換算での名目GDP(国内総生産)が2023年にドイツを下回って4位に転落する見通しであることが国際通貨基金(IMF)の予測で分かった。


そんなことあらためて言われなくてもわかっていたことではないかという識者も少なくないだろう。しかしながら、多くの識者が、足許の円安やドイツの高インフレによる影響が大きいと主張するのが気になる。それが主因ではない。長期的な日本経済の低迷が主因だ。


23年名目GDPの見込み

1,アメリカ 26兆9,496億ドル(+5.8%)

2,中国 17兆7,009億ドル(-1.0%)

3,ドイツ 4兆4,298億ドル(+8.4%)

4,日本 4兆2,308億ドル(-0.2%)


2000年の時点では日本の経済規模は今より大きい4兆9,683億ドルで世界2位だった。1人当たりの名目GDPでは、日本は23年に3万3,949ドルと34位となる見込みだが、2000年時点で、日本の1人当たり名目GDPは2位の3万9,172ドルだった。日本の1人当たりGDPは13.3%も減っている。


日本は総人口の減少を伴う少子高齢化の時代に突入している。生産性向上が急務だが、展望は開けない。マクロ的にはこれからの日本は今より貧しい国になる可能性が高いとしか言いようがない。


国内の需要が年々減少していく中、輸出、インバウンド需要に頼らないといけない状況だが、インバウンド需要を担っていく人材育成が進んでいない。既に極端な人手不足に陥っている状況だが、今後ますます深刻になる。子供をアメリカに留学させたくても、奨学金なしに年間約1千万の費用を捻出できる家庭は多くはない。


アジアの本部を日本に置く外資系企業も減っている。日本では稼げないからだ。ホームページを見ると、日本企業の殆どは、これからは国際化・多様性の時代だと書いてある。日本の伝統を守ることも重要だが、ラグビー日本代表のようなチーム作り、国作りが必要なのに、その動きは少しずつしか進んでいない。


WSJ紙によると、ハーバード大やペンシルベニア大などの一流大学は、ハマスによる攻撃とその被害に対する大学の反応に怒った卒業生から激しい反発を受けている。7日の攻撃後、大学が直ちに、そして断固たる態度でハマスと反ユダヤ主義を非難しなかったと卒業生は糾弾しているそうだ。様々な見方があり、何が正しいかはそれぞれの立場で異なることはあるだろうが、世界の2つの地域で戦争が行われている中でこの問題に背を向けることはない。


この季節になると多くの日本の大学でも卒業生を招いてのイベントが開催されるが、地政学的な問題を取り上げるイベントは少ない。大学のイベントの後、同期が集う会合がメインイベントという人も少なくない。この激動の時代に、日本の高等教育機関で行われるイベントの目的が久しぶりに皆で酒を飲むことだけだとすれば、この国が衰退していくのも仕方ないと感じてしまうのは私だけでしょうか?



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