篠原金融塾 グローバルマーケット(週次)
アメリカでは、3月には感染拡大を受け、国境を封鎖し、多くの州が市民の自宅待機を命じ、大学が一斉に春学期の授業をリモートに切り替えるなど、ヒトの流れを止めたことにより、4月中旬にかけて経済はかつてないスピードで減速した。FRBによる金融緩和に加え、景気対策として大人一人当たり最高で1,200ドルが給付され、4月末には一部の州が規制解除に動き出し、店舗が営業を再開、米経済は6月中旬にかけては急速に回復したものと思われる。その過程で株式市場は大きく値を戻した。NASDAQは先週史上最高値を付けた。
気になることもある。足許では感染者数の拡大が止まらず、経済再開を断念せざるを得ない地域も出てきた。感染者数の増加が続けば、州は規制を強化するかもしれない。あるいは市民は再び家に閉じこもることになるかもしれない。失業給付への上乗せが終了するタイミングでの第2波は非常に苦しい。
先週、6月9・10日に開催されたFOMCの議事要旨が公表された。会合では、今後どのように景気下支えを強化するかを議論していたことが明らかになった。FOMCの予測では、今年10~12月の失業率は平均で9~10%になるとの見通しを示した。とても慎重だ。ちなみに今年の2月の失業率は、3.5%であり、労働市場の改善には時間がかかりそうだ。FOMCメンバーは、少なくとも2022年末までは金利をゼロ近辺に据え置くことを考えているようだ。
2日に発表された6月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比480万人と、市場予想を上回った。失業率は、11.1%。良かったとは言うものの失業率は2桁だ。加えて、時間当たり賃金は前月比マイナス1.2%だ。足許の感染拡大を考えると、とても安心できる内容ではない。
7/4はアメリカの独立記念日だ。25時間にも及ぶ砲弾にも関わらず、マクヘンリー砦の上に星条旗が翻っていたことを誇りに想い、自由と勇者であることを何よりも大切にする価値観を持っているアメリカ人。足許では経済再開を断念せざるを得ない地域がでてきているが、経済が止まれば、市民の不満は高まる。科学的にマスクをすることが正しいとしてもマスクをする自由、しない自由を大切にする。今まさに州知事たちがリーダーシップを発揮すべき時だが、その舵取りは非常に難しい。
そんな中、トランプ米大統領は3日夜、リンカーンなど歴代大統領4人の顔が山肌に刻まれたサウスダコタ州のラシュモア山で、4日の独立記念日を祝う式典に参加した。こんなに人が集まって大丈夫なのかと思ってしまう。ソーシャル・ディスタンシングの措置は実施されず、マスクは配布するが着用は義務付けないそうだ。映像を見るとマスクを着用している人は少ない。
当然ながらアメリカにもこの式典を批判している人達もい