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篠原金融塾 シンセティック・リスク・トランスファー(SRT) グローバルマーケットウィークリー 5/29/2026

米政府当局者は28日、米国とイランが戦闘終結に向けた暫定合意に至り、トランプ米大統領の承認を待っていると説明。トランプ氏は米東部時間29日午前、イランとの戦闘終結に向け最終決定をするため会議を始めると投稿した。

 

米国とイランの交渉が合意に近づいているとの見方が広がり、原油価格が大きく下落、グローバルに株式市場が高値を試し、国債が買い戻される展開となった。

 

そんな中、アメリカの某投資銀行が、40億ドル超のPE向け融資の売却を検討しているとの記事を日本経済新聞で見つけた。

 

何となく気になって、元の記事(FT)を読んでみると、アメリカの某投資銀行が40億ドル超のPE(プライベートエクイティ)向け純資産価値(NAV)ローンのリスク移転取引(Synthetic Risk Transfer, SRT)を検討しているとのことだ。どうやら融資の売却ではないようだ。

 

目的は、バランスシート上のエクスポージャー削減。ローン自体は保有しつつ、最大12.5%の損失部分を外部投資家に移転する構造が検討されている。NAVローン市場は急拡大しているが、AIによるソフトウェア企業のバリュエーション圧力なども背景に、銀行はリスク管理を強化しているとのことだ。

 

気になるのは、NAVローンの借入れを行うのはファンドの投資先企業ではなく、ファンドそのものということだ。ファンドは保有企業の株式を束ねて担保にし、銀行から資金を調達する。

 

ファンドは借りた資金で投資家に分配を行い、ファンドの成績を維持できるのだろうが、ファンドの投資先企業はLBOで既に借金を抱えている。企業価値が下がれば返済が苦しくなり、企業の財務は悪化する。

 

次に、その企業の株式を担保に、ファンド自身がNAVローンで借金をしている。私の理解が間違っていなければ、企業レベルのレバレッジの上に、ファンドレベルのレバレッジが積み上がる二階建ての構造が生まれている可能性がある。 

 

企業価値が下がれば、企業の返済能力が落ちるだけでなく、その株式価値が下がることで、ファンドが借りたNAVローンの担保価値も同時に毀損する構造だ。

 

某投資銀行が保有する40億ドルのNAVローンのうち、最初の5億ドル(=12.5%)の損失を外部投資家が負担する代わりに、投資家は10%台前半の利回りを受け取るという構造は、クレジット・デリバティブ(CDS)に極めて近い。某投資銀行はプロテクションの買い手であり、投資家は売り手だ。12.5%を超える損失はすべて某投資銀行が負担するため、投資家の損失は限定されているように見える。

 

サブプライムの問題のように金融危機に繋がるようなことはないだろうが、マーケットが信用の質について疑問を持ち始めていることは事実であり、このリスクが弾ける可能性を、過小評価すべきではないだろう。

 



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