top of page

篠原金融塾 アメリカの金融政策 グローバルマーケットウィークリー 5/21/2021

市場ではビットコインが乱高下しながら大幅に下落している。中国の金融安定発展委員会が金融リスク防止・管理に向け、ビットコインのマイニングや取引を取締まる方針を表明したことが大きく取り上げられている。ボラタイルな展開が続くことが予想される。


しかしながら、グローバルマーケットを動かしているのはアメリカの金利動向だ。大きな問題は、アメリカの頭脳が集まるFRBのメンバーにとってもインフレリスクに真剣に向き合うのは30年、いや40年ぶりということだ。“Maybe, Might be”という会話が聞こえてきそうだ。


プロの米国債トレーダーでも今のマーケットは難しいとしか言いようがないでしょう。市場の値動きはまさにトレーダーの心が揺れ動く様を表している。今度こそ金利が上昇すると思うと弱い経済指標が発表されたり、株が崩れたり、もう金利は上がらないなと思うと、予想を大幅に上回る経済指標が発表されたり、株が最高値を試したり、本当に難しい相場だ。大きな値動きになりそうでならない。


市場では、先行きのFRBの金融緩和解除の時期について見方が分かれている。FRBが緩和解除を急ぐことに懐疑的な見方を示し、米国債利回りの上昇は抑制されると考える投資家。もう一つは、アメリカ経済は絶好調でインフレ率の上昇はFRBが想定しているような一時的なものではないという見方をする投資家。


そんな中、19日に公表された4月のFOMC議事録によって、FOMCのメンバーの一部が量的緩和縮小(テーパリング)に関する議論を想定より早く開始することができると考えていることが明らかになった。こういう報道が流れるとFRBによるテーパリングが早まるかもとコメントする識者もいるが、「そりゃそうでしょう」と冷静に受け止める必要があるのではないでしょうか。これだけ足許の景気が好調でコアのCPIが3%の状況で、量的緩和縮小の議論を行うのは当然のことで、むしろ何も議論しないほうがおかしい。


私が本当に気になっているのは、私も含めてインフレ率が大幅に上昇した時のマーケットを経験したことがないということで、「想定外」のことが起こる可能性があるということだ。しかしながら、想定外の展開となった時に日米欧の中央銀行が何もしないことは考えにくい。イエレン財務長官、パウエルFRB議長が、市場をサポートしてくれると考える方が自然だ。先行きの予想は非常に難しい。


頭に入れておきたいこと。債券ポートフォリオの収益はキャピタルゲインとインカム