篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 4/29/2022

マーケットはボラタイルな展開が続いている。ロシアによるウクライナ侵攻が世界中のインフレ率を押し上げているが、昨年来既にインフレ率は世界中で大幅に上昇していた事実を忘れてはいけない。仮に今後中央銀行のメンバーが、ウクライナ侵攻がインフレ率上昇の大きな要因だと説明するとすれば、それは金融政策だけではインフレ率上昇を抑制することが難しくなっているという意味かもしれない。


アメリカの3月の個人消費支出は前月比1.1%増加。インフレ調整後の個人消費も0.2%増加した。3月は海外旅行や外食、ホテルなどへの需要が堅調、サービスへの支出が1.1%増加、景気後退が差し迫っている様子はない。


CPIは前年比+8.5%と、前月(同+7.9%)から大きく伸びが加速。一方、コアCPIは同+6.5%と、前月(同+6.4%)から増加率は略横這い。また、米連邦準備理事会(FRB)が注目する3月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比6.6%上昇と、前月の6.3%から加速した。コアPCEも前年同月比5.2%上昇したが、2月は5.3%の上昇だったので、増加率は減速。


マーケットでは、コアCPI、コアPCE共に伸び率が鈍化、物価の上昇がピークを打った可能性と報道する記事が増えるのは当然だが、どうも腹に落ちない。FRBがターゲットとする2%を大きく上回っている状況だ。とても安心できる状況ではない。


なぜこんなにアメリカのインフレ率は上昇しているのか?


アメリカでは凄まじい規模の財政・金融政策が実施されていることが大きな要因であることに疑いの余地はない。新型コロナ感染拡大を受け、2020年12月、共和党政権が新型コロナ禍の救済策として9,000億ドル、2021年3月、民主党政権が更に1兆9,000億ドルの財政政策を実施した。加えて、FRBは、インフレ率の上昇は一時的だという見方を続け、超金融緩和政策を続けてきた。今年の3月迄過去にないほどの規模の景気刺激策を財政面・金融面で続けてきたのだ。


今年になって、FRBは方針を大きく転換、現在インフレ率の上昇を抑え込むのに必死になっている。Behind the curveという批判を避けるためにFRBはより迅速に動く必要がある。しかしながら、これほど高くなったインフレ率を金融政策だけで抑え込むことが本当に出来るのだろうか?先週末には、NASDAQが1日で約4%も下落し越週しているが、景気後退のリスクが懸念され、株式市場が下落を始めたら、成長と物価のどちらを優先するかという選択を迫られる。中央銀行は、利下げをして批判されることはまずないが、利上げをすると激しく反発されることもあり、難しい判断を迫られることになる。


斯かる状況下、日本銀行は、先週金融政策決定会合が行われたが、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続 するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続、マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続することを決定した。


短期金利は、日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用、長期金利は、10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行うことを決定した。加えて、10 年物国債金利について 0.25%の利回りでの指値オペを、明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日、実施することを公表した。


日本銀行は、当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じるとしている。


5月3、4日に金融政策を協議するアメリカの連邦公開市場委員会(FOMC)では、50bpの利上げが予想されている。加えて、バランスシートの削減も議論される。FRBが明らかに金融引締を急ぐ一方、日本銀行では緩和を反対する政策委員が1人もいない。それどころか必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる方針であることが明らかになったわけで、ドル円は引き続き上値を試すだろう。


円安はマクロ的には景気・物価共に日本経済に好影響を与えるというのが日銀の見解であり、引き続き需給ギャップがマイナスである状況下、政策委員にとっては、金融緩和を継続するというのは当然の判断なのでしょう。しかしながら何かしっくりこない。


日本銀行はバブル時に資産価格の変動に基づき金融施策を実施すべきではないという考え方に基づき、金融緩和政策を実施していたと私は理解しているが、輸入物価が激しく上昇する中、更なる円安が日本経済に好影響を与えるという見解について見なおす必要はないのでしょうか?根拠はないが、何かあの頃の金融政策に似ているような気がしてならない。





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