篠原金融塾 金利の死と副作用

日経新聞朝刊(6/14)の記事“コロナが招く「金利の死」 1%未満の国、5割 チャートは語る”は興味深い。

新聞記事、テレビの報道で金利が取り上げられることは少ない。株式市場については、何故買われたか、売られたか、セクターに関する話も出てくるので、個人投資家にもわかりやすい。しかしながら、金利については何故上昇したか、何故低下したか、詳しい説明はない。

「昨日の債券市場を見てみましょう。米国10年債金利は0.035%低下の0.664%となっています」

というのが典型的な報道だ。当然イールドカーブの話などほとんど聞いたことがない。10年債は買われた。何でという説明はない。2年債、3年債、5年債、7年債、30年債はそもそも買われているのか売られているのかもわからない。

ほとんどの人にとって金利の動きの方が株式より重要なはずである。55歳で1,000万円の貯蓄がある人にとって7.2%クーポンの10年債を見つけることには興味があるはずだ。10年後の満期時には2,000万円になる。仮に0.9%クーポンの10年債しか見つけることが出来ないと、1,090万円にしかならない。

記事では、「新型コロナウイルスのまん延が世界の金利低下に拍車をかけている。各国中銀はいっせいに政策金利を引き下げるとともに国債を大量購入し、大規模な財政出動をしても金利が上がらなくなっている。金利の機能が損なわれる「金利の死」は副作用も大きい。世界の成長力を高められるか分岐点にある。」と説明しているが、何だかよくわからない。

「金利の死」って何だろう?

記事では、「元日銀総裁の福井俊彦氏は日銀内の口述回顧で「1%というのは、金利機能が働く最低レベルの金利」と話した。金利は企業淘汰を通じて経済の新陳代謝を進めたり、財政悪化やインフレを察知して警告を発したりする。この機能が働くかどうかの目安とされる1%を主要国の半分が下回る「金利の死」が広がる。」と説明している。

難しい。

福井氏は、金融緩和により金利が1%以下に低下した場合、投機的動機による貨幣需要が無限大となり、通常の金融政策が効力を失うと述べているのだろう。簡単に言えば、金利水準が1%以下だといくら金融緩和を行っても景気刺激策にならないと言うことだ。銀行などに資金が大量に滞留し、企業や個人など民間に資金が行き渡らず、設備投資や個人消費が増えない。世界各国の中央銀行は市場が混乱しないように流動性を供給することしか出来ない。

従って、新型コロナの感染拡大でヒトの流れを止めたことによる需要消滅を補うため、各国政府は巨額の財政政策を実施している。

「金利の死」の副作用って何だろう?

記事では、「金利機能を殺す副作用は大きい。利回りが得られない年金基金や保険会社は株式や低格付け社債などリスクの高い資産を増やさざるをえず、運用は不安定になりやすい。利ざやがとれない銀行は収益が低迷し、長い目で見た金融機能の維持にも疑問符がつく。金利には、利払いを上回る利益を稼ぐ努力を企業に促して、イノベーションを引き出す機能もある。低金利で低い収益のまま生き残るゾンビ企業は世界で増えている。」と説明している。

基本的には日本では長い間、米国でもリーマンショック以降、低金利政策が実施されているが、成長率は高められていない。「金利には、利払いを上回る利益を稼ぐ努力を企業に促して、イノベーションを引き出す機能もある」のだとすれば、低金利による副作用は大きすぎる。もはや低金利・量的緩和で需要を喚起できないと思ったほうが良いのではないか?

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