篠原金融塾 グローバルマーケット(週次)
米株に引っ張られる形でグローバルに株が値を戻している。
アメリカの状況が改善しているとはとても言えないが、やはり世界経済はアメリカに頼っている状況は変わらない。トランプ米大統領は、経済活動の再開に向けた作業部会を立ち上げることを検討中だ。
トランプ大統領を支えている米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は、ニューヨーク出身で、コーネル大学医学部を首席で卒業、医学博士号を取得、HIV、SARS、2009 年豚インフルエンザのパンデミック、MERS、エボラ出血熱、2019新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) 等、ウイルス性疾患と闘ってきた米医学界のリーダーだ。
「コロナ対策の次なる課題:経済をいかに再始動するか(WSJ紙By Stephanie Armour and Jon Hilsenrath 2020 年 4 月 9 日 02:43 JST)」によれば、ファウチ所長は、現状を以下のように認識している。
「照明のスイッチをオン・オフするようにはいかない」。米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のポッドキャスト、「ザ・ジャーナル」とのインタビューでこう述べた。「特定の制限措置を段階的に解除し、社会生活を少しずつ元の状態に戻す取り組みになる」 同所長は、まずは感染者の大幅な減少が最初の条件となるとし、「絶対に正しい方向に向かっていると確信する必要がある」と述べた。「それから、じわりと元に戻す。一気に両足を突っ込むようなことはしない」
慎重だ。
記事によれば、ボストン地区連銀のエリック・ローゼングレン総裁は先週のインタビューで、レストランやホスピタリティー、旅行など、コロナで最も深刻な打撃を受けている業種の多くは、労働者および顧客の双方に「自らの健康をリスクにさらしていると感じさせない」ことが必要だと指摘。その上で、経済の先行きは「公衆衛生を巡る動向が今後どうなるのかに極めて大きく左右される」と述べた。
医学界・中央銀行の中心人物たちがリーダーシップを思う存分発揮しだしたアメリカ。当面の間、発表される経済指標は酷い内容だろう。アメリカは、引き続き問題だらけなのかもしれないが、後手後手に回っていたアメリカが前を向いて動き始めた。そんな気にさせる週となった。
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