篠原金融塾 クレジット市場が危ない

イタリア国債が大暴落している。10年債の利回りが過去5日間で約80bp(0.8%)も上昇している。日本国債・米国債・独国債など主要国債が買われる中でイタリア・スペイン・ポルトガル債などの対独・米スプレッドは急拡大している。今後この動きはクレジット市場にも波及していくはずだ。市場参加者の視線はグローバルに株式市場に集まっているが、クレジット(社債)マーケットを気にしたほうが良い。


昨年末に市場関係者と忘年会をやっている時に私が「クレジットマーケットは世界的な過剰流動性で歪んでいる。危ないよね。」というと、皆が「ほかにお金の行き場がないし、FRBは金融緩和を始めたし、歪んでいるかもしれないが、何かきっかけがない限り、当面大丈夫でしょう。」というのが彼らの答えだった。


その何かのきっかけが起きた。新型コロナウイルス。世界的にモノの流れが混乱し、そしてとうとうヒトの流れが止まり始めた。911テロの時にも1週間程度飛行機が止まったが、今回は少なくとも30日間欧州からアメリカへのヒトの流れが大幅に減ることは確実だ。日本でも時差出勤、在宅勤務が始まった。


次に何が起こるか?


カネの流れが止まる。世界各国の中央銀行は市場に大量の資金を供給するだろう。FRBは、既にレポ市場を通じて大量の資金供給することをアナウンスしている。それでもモノ・ヒト・カネの動きが同時に止まるというのはなかなか経験したことがない状況だけに不安だ。


来週開催されるFOMCではFRBによる追加緩和が市場のコンセンサスになっているが、新型コロナウイルス対策として金融政策で出来ることは市場に大量の資金を供給することだけだ。


感染症の問題は、地政学リスクとは異なり、物理的には何も破壊しない。落ち着きを取り戻せば、ホスピタリティー業界にはヒト・カネが戻ってくるし、製造業はモノの生産が再開する。しかしながら、マクロ経済的に大きなストックの破壊が新たなフローを生み出すことはないので、大きな復興需要は期待できない。金融市場には大量におカネが戻ってくるだろうが、その時に投資先がない。


1か月前には新型コロナウイルスの問題はおそらく一時的なもので、経済成長に与える影響は少ないというエコノミストは少なくなかった。今では派手にその悪影響を語る人達が増えてきた。この問題もいつかは収束するはずだ。ということはグローバルに株式市場はどこかで底値を見つけ、戻りだす。問題はそれがいつかはわからないということだ。そして、現時点では不確実な要因が多すぎてリスクをとる動きはなかなか出てこない。


市場では、とうとう金が売られ始めた。おかしい。金は質への逃避先なのではないのか? マージンコール用に金を売って現金化している向きがでてきたとの報道もある。今の値動きが続くとそのうちどこかのヘッジファンドが危ないという話がでてくるだろう。


おそらく市場は過剰反応しているし、心配しすぎなのかもしれない。しかしながら、自然災害では毎年のように想定外のことが起きているし、新型コロナウイルスの拡大も今まで経験したことのないような想定外の展開となることも頭に入れておく必要があろう。


引き続きクレジットマーケットには資金が流れている。しかしながら、クレジットスプレッドが拡大し、値を崩しだすのは時間の問題だ。時価評価をする必要のない投資家にとっては買い場という専門家もいるだろう。彼らが言うことが正しいのかもしれない。


それでも私は引き続き個人投資家が今出来ることはリスクを縮小すること、そして手洗い、うがいをすることだと思う。


S&P500の下値のめどはどこか? 


正直分からない。2,400割れで止まらなければ、次のターゲットは2,000。

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