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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

篠原金融塾 ベージュブック

米連邦準備制度理事会(FRB)は15日に米地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表した。

今回のベージュブックは、大半の地域で封鎖措置が導入されてから数週間後にあたる4月6日までの情報に基づいてまとめられたので、良いはずがないが、サマリーは以下の通りだ。

経済活動全般

COVID-19パンデミックの結果、米国内のすべての地域で経済活動が急激かつ急激に縮小。新型コロナウイルスの封じ込めに向けた措置により最も大きな打撃を受けた産業は、レジャーとホスピタリティ、そして必需品以外の小売業。食品や医療備品メーカーなど、一部の業界は商品への需要が大きく伸びたが、生産遅延やサプライチェーン(供給網)の混乱などが足かせとなった。 自動車などの他の製造業の中には、閉鎖に追い込まれている業種もある。エネルギーセクターは、原油価格の下落と需要の減少に苦しんでいる。銀行は、融資を必要とする企業や住宅ローンの借り換えを求める家計の信用需要が高まったと報告している。経済の先行きについては、今後数ヶ月で更に悪化すると見込んでいる地区が殆どだ。

雇用と賃金動向

雇用は全地区で急激に減少。雇用削減は小売業やレジャー、ホスピタリティ部門が最も深刻。製造業やエネルギー部門を含む厳しい人員削減が広範囲に及んでいる。企業は目先、状況はさらに悪化すると予想しており、一段の人員削減を見込んでいる。

物価

サプライチェーンが混乱したことを受け、貨物などの一部の重要なサービスや、一部の農産物や消費財の大幅な価格上昇に繋がったものの、需要減退を受けて、多くの企業が一部商品を値下げしたと報告した。こうしたトレンドが続けば、更なる物価の下落を招く恐れがあると報告した。

パウエルFRB議長は、FRBは市場の流動性が枯渇しないように緊急融資を実施するが、返済が苦しくなる融資より、直接的な財政支援を必要とする多様な事業体もあると追加の財政支援策の必要性を説いている。そして、社会として、公共の利益のために苦しんでいる人々を救済するため、できる限りのことをすべきだと主張している。

トランプ大統領とパウエルFRB議長の強力なリーダーシップにより金融市場は何とか持ちこたえている状況だが、世界の中央銀行のトップがこのようなコメントをしないとならないということは、金融政策で出来ることには限界があるということだ。世界経済はアメリカ頼みだったが、そのアメリカが過去最大のリセッションとしか言いようがない状況に陥った。


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