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経団連によるSociety 5.0に向けて求められる初等中等教育改革 第一次提言

一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)は、7/10にSociety 5.0に向けて求められる初等中等教育改革 第一次提言~with コロナ時代の教育に求められる取組み~を公表した。


http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/063_gaiyo.pdf(概要)

http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/063_honbun.pdf(本文)

経団連のホームページを見ると、Society 5.0とは何かを以下のように説明している。

“Society 5.0とは、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会という意味で、政府の第5期科学技術基本計画(2016年1月)において初めて提唱された考えです。当初は日本の科学技術政策の中で生み出された考えでしたが、わが国そして世界が目指すべき未来の社会像として、世界中に広まりつつあるコンセプトであり、政府のみならず産業界や学術界も一緒になって取り組みを進めているものです。

現在、AIやIoT、ブロックチェーンなどの革新的なデジタル技術が進展し、それらがデータを核に駆動することで、社会のあり方が大きく変わろうとしています。このデジタルトランスフォーメーション(デジタル革新)の波は止まることなく、人類社会が次のステージへ向かうきっかけとなると考えられます。

科学技術基本計画では、Society 5.0を「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(超スマート社会)」と位置付けました。”

“経団連は、第5期科学技術基本計画策定に向けたSociety 5.0のコンセプト作りから議論に参加し、推進に向けたさまざまな議論や提言活動を進めてきました。

2018年7月には、中西会長を座長とする「未来社会協創会議」を立ち上げてSociety 5.0実現に向けた諸課題を包括的に議論し、世界に打ち出すコンセプトを深化させるとともに、実現に向けたアクションプランを整理し、提言「Society 5.0 -ともに創造する未来-」として11月に公表しました。

提言では、これまで「超スマート社会」とされてきたSociety 5.0を「創造社会」と呼称することを提唱しました。Society 5.0で目指すべき人間中心の社会では、利便性や効率性の実現を主目的とするのではなく、デジタル技術・データを使いながら、人間が人ならではの多様な想像力や創造力を発揮して、社会を共に創造していくことが重要であると考えています。Society 5.0とは、創造社会であり、「デジタル革新と多様な人々の想像・創造力の融合によって、社会の課題を解決し、価値を創造する社会」です。”

文部科学省、経団連、教育関係者が使っているSociety5.0とは、これから創っていく新しい社会のことだ。これは、その新しい社会で生きていく力をつけていくための教育についての経団連の提言だ。懸念される新型コロナウイルスの第二波に備え、新型コロナウイルスとともに歩む時代(with コロナ時代)において、オンライン教育と学校での対面形式の教育とのハイブリッドな学習環境の構築による新しい教育様式 を確立するために、比較的、短期的に求められる教育改革の取組みを中心に「第一次提言」として取りまとめている。

中身を見てみよう。

新しい社会で求められる能力と資質は以下の通りだと説明している。

Society 5.0 の人材には、リテラシーとしての能力(数理的推論・データ分析力、論理的文章表現力、外国語コミュニケーション力など)、論理的思考力と規範的判断力、課題発見・解決能力、未来社会を構想・設計する力と高度専門職に必要な知識・能力が求められる。

経済発展と社会的課題の解決の両立を目指す、人間中心の社会 であるSociety 5.0 では、性別、人種、国籍を問わず、さまざま個性や能力をもった人材が協働して社会課題を解決し、オープンイノベーションを通じて新たな価値を創造することが求められる。そのためには、異文化や多様な背景を持つ集団においてリーダーシップを発揮できる人材を育成することが重要である。また、先を見通せない予測不可能な時代(VUCA)において未来社会を構想・

設計する際には、失敗を恐れず果敢に挑戦する姿勢や自己肯定感も欠かせない。

こんなにすごい能力や資質を求められるSociety5.0という社会は、生きていくのが大変そうだ。

経団連はそんなことは言っていないが、新しい社会では、個々人の能力や資質によって、格差は確実に広がっていきそうだ。そしてこれからの教育は根本的に見直す必要がでてきているのだろう。今までのようなカリキュラムに基づき、毎日ワークシートに取り組み、テストで満点をとるための訓練ではSociety5.0という創造社会で生きていくのは難しそうだ。

教育の方向性としては、ポイントが4つ掲げられている。第一に、異文化を理解するとともに、異なる価値観や個性を持つ他者と協働する機会を増やしていくことが求められる。そして「誰も取り残さない」教育を推進し、理解度や学習ペースに関わらず、あらゆる児童生徒が学ぶ楽しさを知ることができれば、誰もが Society 5.0 で活躍する人材となる可能性が生まれる。所謂Diversity & Inclusionという考え方だ。

第二に、学校現場における EdTech の活用により、場所・空間に制約されず、日本全国津々浦々の地域で、学校と家庭・学習塾などが機能的に連携し、オンラインによる質の高い教育を提供することだ。

第三に、教科教育を EdTech の活用を通じて効率化することによって、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた探究型学習(PBL 授業、チーム学習、調べ学習)により多くの時間を充てることだ。探究型学習においては、社会課題など答えのない問題に対してチームで取り組むことで、対話・コミュニケーション能力を育むとともに、各教科で得られた知識を相互に関連付けて自分なりに考えることを通じて主体的で深い学びの実現や自律の精神の養成が期待される。先生は座っていれば良い。極端に言えば、先生正解は何ですか?と生徒に問われたら、先生はこう答えればよい。「正解が何かは先生にもわかりません」。答えはひとつではないという教育だ。

第四に、リカレント教育の充実だ。学校を卒業して就職したら、年功序列、終身雇用制度の下で安心して働くという時代ではないということだろう。技術や知識の陳腐化が激しく、求められる能力や企業の形態も刻々と変化する中、産業構造の変革に応じて円滑な労働移動を促進する。労働市場のセカンダリーマーケットが今後大きくなっていくということだ。

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、全国すべての小中高等学校等が臨時休校を余儀なくされた。臨時休校中、ICT やリモート教育に十分、対応できた公立学校は少なく、日本の教育機関におけるデジタル化が諸外国と比べても大きく遅れている現状が明らかとなった。懸念されている新型コロナウイルス感染症拡大の第二波に備えるためにも、コロナと共に歩む時代の新しい教育様式を早急に実現する必要があり、経団連は以下の提言を行った。

OECD「国際教育指導環境調査(TALIS)2018 年報告書」によると、日本は、学校での課題や学級活動に ICT を活用させている教員の割合は、TALIS 参加 48 か国中最低レベルの水準であることが示されたと指摘している。最低レベルだ。臨時休校中に双方向のオンライン教育を実施した学校は全体のわずか5%だという。政府は、世界に後れをとっている学校教育の ICT 化に最大限のスピード感をもって取り組む必要がある。