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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

暇なときに 4/22/2020 水曜日

日経新聞の記事「科学を信じ「新常態」に備え WHOの進藤奈邦子氏」はとても勉強になった。進藤氏は、国立感染症研究所主任研究官を経て、02年からWHOで勤務。新型インフルエンザやエボラ出血熱など感染症の危機管理を指揮とある。凄い人だ。

「新型コロナの教訓は何でしょうか。」という質問に対し、進藤氏は以下のように答えている。

「21世紀に入って経済や社会活動は点から線に、線から面に、面から立体になっている。今までと物事のスピードが圧倒的に違い、感染症も瞬時に拡大する。新型コロナは異常事態ではなく、『ニューノーマル(新常態)』ととらえて対策を打たなければならない」

「対策の根本は科学を信じること。科学に基づく準備がいかにできているかが、流行を抑制できるかの分かれ目になる。政治家の強いリーダーシップも必要だ。最終的には一人ひとりの行動にかかっているので政府・企業と個人とのコミュニケーションが重要になる」

同感だ。特に「コミュニケーションが重要になる」というところが私の心に刺さった。

一方向の情報伝達ではなく、一人ひとりが人の話を傾聴し、事柄だけでなく、相手の気持ちを理解し、共感することにより、より良い関係が構築されると、スムーズなコミュニケーションが可能になる。

SNSなどを通じて、自分の意見、考えを自由に語れる時代になった。でもこれにより、人々のコミュニケーション能力が向上したわけではない。大人も子供も「自分はこう思っている、こう感じている」と語ることはとても上手くなったと思う。しかしながら、「あなたはこう思っている、感じている」と他人のことを理解する力は昔と変わっていないか若しくは衰えているかもしれない。

今の時代、政府・官僚・医療従事者・民間企業・個人、誰にとっても大切な素養はコミュニケーション能力のようなソフトスキルだと思う。

日本の政治家・官僚は皆働き者で優秀だ。日本の医療は世界でトップクラスだ。日本の発展は民間企業なしには成しえなかった。日本人は勤勉で真面目だ。個々を見れば、世界有数の国であることは間違いない。こういう優秀な主体をいかに繋げていくか、お互いがサポートし合うことでその力は何倍にもなるはずだ。緊急事態の中、政治家・官僚は国民のことを考え、国民はそれぞれの持ち場で社会に貢献することが求められている。

人は誰かに自分のことをわかってもらえると、安心し、落ち着くことが出来る。すると自分が抱えている本当の問題に、物事の本質に気がつくことが多い。我々は、他人のアドバイスで自分の考えを大きく変えることはあまりない。人に話を聴いてもらっている間に、「自分が話していることおかしいかも?」と勝手に自分自身の問題に気づき、問題を自分で解決できた経験は誰にでもあるだろう。

今、新入生・新入社員は特に不安だろう。また、就職活動中の学生にとってはインターンシップがどうなるか不安だ。正直良いアドバイスなどない。仮にアドバイスしたとしても効果的ではない。

学生 「会社説明会が中止になった。どうしよう?」

父親 「皆同じだ。大丈夫だ。頑張れ!」

子どもの性格にもよるが、最悪なケースかもしれない。

学生は確かに父親に質問をしているが、まずは自分のことをわかってもらいたいのだ。心の中は、「大丈夫じゃないって言っているのに、全否定された。お父さんは自分のことなんて何にもわかっていない。」と自分の部屋に閉じこもってしまう。

自分の意見、考えを言う前に、「そうか説明会中止か。不安になるよな。」のひと声をかけることが出来れば、会話は劇的に変わるはずだ。

学生 「会社説明会が中止になった。どうしよう?」

父親 「そうか説明会中止か。不安になるよな。」

学生 「そうなんだよ。仕方ないけど、就職活動不安だよ。」

父親 「どうしてよいかわからないな。」

学生 「本当にそうなんだよ。まあネットで引き続き情報を集めてみるよ。」

父親 「皆同じだ。大丈夫だ。頑張れ!」

学生 「ありがとう!」

ちょっとした言葉でこんなに会話は変わるものだ。誰だって自分の気持ちを理解してもらえれば安心する。緊急事態宣言下の日本。私は一人ひとりが周りの人の話を良く聴こうと努力することによって、社会全体をよりよい方向に動かしていくことが出来ると信じている。

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