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篠原金融塾 GPIF グローバルマーケットウィークリー 7/10/2026

米労働省労働統計局(BLS)が2日発表した6月の雇用統計によると、非農業部門就業者数(季節調整値)は5万7,000人増と、市場予想11万5,000人を大きく下回る内容となった。加えて、4月と5月の就業者数は合わせて7万4,000人、下方修正された。

 

少し詳しく見てみよう。

 

専門職・ビジネスサービス、ソーシャルアシスタンス(社会福祉)、医療で雇用が増加する一方、レジャー・接客業では雇用が減少している。

 

家計調査データを見ると、失業率は4.2%、失業者数は710万人で、6月はほとんど変化がない。 主要な労働者グループ別の失業率もほぼ横這いだ。

- 成人男性:3.9% 

- 成人女性:3.7% 

- ティーンエイジャー:14.6% 

- 白人:3.6% 

- 黒人:6.6% 

- アジア系:3.9% 

- ヒスパニック:5.2% 

 

失業者全体の27.3%を占める27週以上の長期失業者は、190万人でほぼ変化なしだが、前年比では286,000人増加。 労働参加率は0.3ポイント低下し61.5%、就業率は0.2ポイント低下し59.0%。経済的理由でパートタイムの人は470万人でほぼ変化なし。労働力外で「現在仕事を望む人」は600万人でこれもほぼ変化なし。

 

事業所調査データを見ると、上述のとおり、非農業部門雇用者数は6月に57,000人増と小幅な増加。過去12か月の平均増加(36,000人)と同程度。

増減の内訳: 

- 専門職・ビジネスサービス:+36,000 

- ソーシャルアシスタンス:+25,000 

- 医療:+22,000(過去12か月平均+38,000より鈍化) 

- レジャー・接客業:▲61,000 (季節的な採用が弱かったため。)

その他の主要産業(鉱業、建設、製造、卸売、小売、運輸・倉庫、情報、金融、その他サービス、政府)は大きな変化はない。

 

賃金・労働時間を見てみると、平均時給(民間全体):前年比 +3.5%、平均週労働時間(民間全体):34.3時間で変化なし 

 

過去月の改定:合計で74,000人の下方修正。 

- 4月:+179,000 → +148,000(▲31,000) 

- 5月:+172,000 → +129,000(▲43,000) 

 

ということで、6月のアメリカの雇用統計は、予想を下回ったと言っても、連邦準備制度理事会(FRB)にとって先行きの経済見通しを変更する材料にはほとんどならなかったと言えるだろう。

 

現在はFRBにとって、インフレが最大の懸念事項となっており、今後数カ月の物価指標は、毎月の雇用統計よりも金利動向にはるかに大きな影響を与えるだろう。

 

8日公表された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(6月16・17日開催分)は、インフレの押し上げ要因として数カ月前にはほとんど議論に上らなかった人工知能(AI)への旺盛な投資について、当局者が一段と注視していることを示している。

 

議事要旨によると、AI投資は中東での地政学リスクや関税とともに、物価を高止まりさせ、FRBを利上げへと傾かせかねない要因の一つとなっている。また、「複数の参加者が、財・サービスの大部分で大幅な値上がりが見られるなど、物価上昇圧力がより広範に及ぶようになったと指摘した」と記載されている。


アメリカ市場は、引き続きインフレ動向を見極めることが重要だ。

 

さて、日本では、10日、片山財務相が閣議後会見で、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)をはじめとする年金基金により、日本の金融資産にさらなる投資をしていただく方向で後押しする方策を追求したい」と発言したことを受け、ドル売り円買いの動きが強まった。

 

実際にこの方策が実施されれば、海外から円資産に戻す動きにつながるため、円安圧力が弱まり、ドル円の上値を切り下げる局面に入るという見方もできるだろう。


しかしながら、本当にそれでよいのだろうか?


長期の安定性を高めるため、国内債券偏重から脱却し、リスク分散を実施、公的年金資産を国内債券、外国債券、国内株式、外国株式に25%ずつ運用してきたGPIF。そのGPIFがポートフォリオを長期の安定性を高めるためではなく、国の円安対策としてポートフォリオのリバランシングを実施、国内債券、株式にシフトするというのは本末転倒ではないだろうか?

 

購買力平価で過去5年を考えた場合、ドル円は円安方向ではなく、円高に振れていておかしくない。にもかかわらず、大きく円安に振れているのは、金融政策の副作用だと私は思う。


そうだとすれば、金融政策の正常化を進めることが円安対策であるはずなのに、財務省が中心になって、介入、GPIFのポートフォリオのリバランシングで円安対策を実施するのだとすれば、一時的には円高に振れることはあっても、中長期的には円安の流れは止まらないだろう。



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