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篠原金融塾 欧州も米国も “鷹(タカ)”が飛んでいる! グローバルマーケットウィークリー 12/16/2022 年内最終号

欧州中央銀行(ECB)は、政策金利を2.0%へと0.5%引き上げた。同中銀はまた、量的緩和プログラムで膨れ上がったバランスシート上の資産について、削減を開始する計画を発表した。ECBは来年3月以降毎月、資産購入プログラム(APP)の枠組みの中で、償還期限を迎える債券の元本150億ユーロに相当する額の再投資をやめることで、バランスシートの削減に着手する。


ラガルド総裁は、記者会見で、「(0.75%ではなく0.50%の利上げを実施したことは政策の)転換ではない。米連邦準備制度理事会(FRB)と比較すると、われわれがカバーすべき範囲はより広く、進むべき道のりも長い」と述べた。ユーロ圏の11月の消費者物価が前年同月比で10%上昇していることを考えると当然のコメントだろう。


アメリカでは、イエレン米財務長官が、「不測の事態がない限り、来年末には物価上昇率がかなり下がるだろう」との見通しを示し、市場は注目している。新型コロナウイルス禍からの経済回復で停滞していた物流が改善していることなどを要因として挙げた。イエレン氏は「輸送コストが下がり、物流の遅れが解消した。その結果、ガソリン価格も下がっている」と説明。景気後退の懸念はないかとの質問には「景気後退のリスクはあるが、(景気後退が)物価を下げるのに必要だとは考えない」と指摘した。


そんな中、FRBは、連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%の利上げを決定。FF O/N金利(政策金利)は、4.25-4.50%に引き上げられた。経済・金利見通しでは、2023年末までに政策金利は5.00-5.25%まで利上げが実施されるとの見込みだ。来年の成長見通しは0.5%。失業率も現在の3.7%から4.6%に上昇すると見込んでいる。


しかしながら、来年末時点のヘッドラインインフレ(PCE)見通しについては、3.1%、コアインフレ率(Core PCE, 食品・エネルギー除く)についても、3.5%に上方修正され、明らかにイエレン米財務長官並びに市場参加者と比較するとFRBがインフレは高止まりすると考えていることがわかる。


パウエルFRB議長、ラガルドECB総裁は、市場が思っている以上に“タカ派”だと考えた方が良い。


米国債の金利水準を見る限り、2023年中にはFRBが利下げを開始するという見方をする市場参加者が増えてきているようだ。来年短期金利が5%を上回るとFRBが予想する中、10年債が3.5%の水準で推移している。明らかなネガティブキャリーを上回るキャピタルゲインを期待できるとは思えず、上値を試すか下値を試すかと聞かれれば、下値を試し、来年どこかで4.50%-5.00%を試す局面を想定しておいた方が良いのではないかと私は思う。


2023年はどんな年になるか?


新型コロナ⇒サプライチェーンの目詰まり⇒ロシアによるウクライナ侵攻、という中、2022年は、インフレ率の上昇が止まらなかった一年。新型コロナ直後は、世界中の中央銀行が大量に流動性を供給したことで、世界経済の大幅な減速からの立ち直りをサポート。しかしながら、各国が国境を開けた今、仮にインフレの主因が過剰な需要ではなく、供給サイドの問題だとした場合、需要を抑え込みすぎてしまうのは危険な政策であり、景気は減速するものの、インフレ率は高止まりしてしまうことに。2023年の中央銀行による利上げはインフレ動向次第だが、思った以上にインフレが高止まり、思った以上に利上げが実施されるような年になるような気がしてならない。


今年も一年ありがとうございました。来年も宜しくお願いします!




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