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篠原金融塾 アメリカ議会でのESGの議論 グローバルマーケットウィークリー 3/3/2023

先週のマーケットは、堅調なアメリカの経済指標とヨーロッパのインフレ上昇を受け、主要中央銀行は想定以上の利上げを行う必要があるとの観測が高まり、国債利回りが急上昇。米10年債利回りと30年債利回りが共に昨年11月以来の4%台乗せを示現。金曜日にはポジション調整の動きを中心に米国債は買い戻され、結局米10年債は、3.96%での越週となった。


米リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は3日、政策金利をどの程度まで引き上げる必要があるかについての見通しは示さなかったものの、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ率を目標の2%に戻すにはさらに念を入れて利上げが必要になると述べている。


一方、FRBは、賃金が堅調に増加しているにもかかわらず、物価上昇などの影響で2022年のインフレ調整後の税引き後所得は1.4%減少しており、家計が新型コロナウイルス感染拡大時に蓄えた貯蓄を使い切るにつれて、これまで堅調だった個人消費の伸びは緩和していくともFRBは予想しており、金融政策の舵取りは非常に難しい状況だ。米国債市場は右往左往しながらも、イールドカーブがスティープしながら金利は上昇するのではないだろうか?


アメリカ議会では、とても考えさせられる議案が議論されている。


上院では、複数の民主党議員が共和党議員とともに、労働省の規則を認めない決議案の賛成に回り、同案は可決された。


このバイデン政権の規則は、運用担当者が労働者の退職後の備えを自らの望み通りにいかなる手法で運用することも、事実上容認するものであり、退職年金の受託者はESG(環境・社会・企業統治)要素を考慮に入れて投資判断を行い、「何百万人もの米国民の退職後の資金運用で最高のリターンを得ることよりも、政治を優先する」ことが可能になるというのが共和党の考え方だ。


そして、この規則の目的は、企業の温室効果ガス排出量や職場の多様性など、運用成績に「関係する」かもしれないESGの要素を考慮したとして受託者が提訴されるのを防ぐためのものであり、それが駄目だという共和党案が可決されたという報道だ。


とてもアメリカらしい考え方であり、今後の展開に注目したいが、ヨーロッパは一歩進んでいるかもしれない。ESG要素を考慮に入れない投資、ESG要素を考慮に入れる投資、インパクト投資を分類する取り組みが進んでいる。ESG要素を考慮に入れなければ、資金調達が出来ず、結果として投資リターンもあがらない状況になると考えられるようになっている。従って、ESGに注力することは運用業界では当たり前のことになっている。


日本でインパクト投資と呼ばれているものもヨーロッパ基準ではどうなるかわからない。ESGが投資の新たなプラットフォームづくりに繋がるような気がしてならず、日本基準というものがないことがとても気になる。



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