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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

暇なときに 日経新聞特集「教育改革危機が促す」

日経で「教育改革危機が促す」という特集が組まれた。特集は次のような一文で始まる。

“新型コロナウイルスの感染拡大が教育を揺るがしている。全国休校がもたらした学習格差、画一的な教育制度、再考を迫られる大学のグローバル展開――。教育の新たな形を示せるかがコロナ時代の国家の競争力をも左右する。”

デジタル対応の遅れ、「履修主義」をとる義務教育の問題点、そして国際化の遅れについてまとめている。特集を読んでの印象は、「柔軟性に欠ける」ということだ。

それにしても、授業中のデジタル機器の利用状況がOECD加盟国で最低水準である状況を10年以上放置しているのはどうしてなのだろう?

3月23日の国連教育科学文化機関(ユネスコ)での教育担当の閣僚級会合には、フランスやイタリアなど11カ国が参加したそうだが、日本以外の全ての国が、新型コロナで休校中にオンラインで指導をしていたそうだ。日本は何か方針があってオンラインで指導しないのではない。オンラインでの指導が出来ないのである。

世界はこの20年で、情報機器を鉛筆やノートと同じ文房具にしたが、日本の学校は情報機器を遊び道具とみて遠ざけた。教育関係者は大いに反省すべきだ。日本政府は、予定を早めて、生徒一人に一台のパソコンを用意するそうだが、やろうと思えば出来たことに今まで取り組んでこなかったということだ。

クラスに1人でもパソコン・スマホを持っていない家庭があるとその生徒が授業を受けられないので、オンライン授業は出来ないという学校もあるのだろう。どうしてこんなことになってしまったのだろう?だから授業をやらないという結論に何故なってしまうのだろう?パソコン・タブレットが用意できない生徒には、学校から貸与するなど工夫は出来るはずだ。柔軟性に欠けるとしか言いようがない。

“「入学を9月にするのは無理です」。広島県の私立小「神石インターナショナルスクール」運営法人の末松弥奈子理事長は4月の開校前、教育関係者に聞かされた。学校教育法施行規則が「小学校は4月入学」と一律で決めているからだ。同校は欧米流の全寮制学校で、大半の授業を英語で実施する。海外の学校との交流促進のため学事暦も9月開始の欧米と合わせることを狙ったが、断念した。”

学校教育法施行規則が「小学校は4月入学」と一律で決めているから、「入学を9月にするのは無理です」という話も柔軟性に欠ける話だ。9月入学が合理的なのであれば、学校教育法施行規則を変更すれば良い。

そんな中、今後は世界市場から高卒者を複数回受け入れ一定の学修レベルに達すれば学位を与えるモデルが必要だと訴えている人がいる。東京大学の五神真学長だ。入学時期は4月か9月かという2択ではない。必要な単位を取得できれば4年間大学に所属しなくても学位を与える。とても柔軟だ。是非実現して欲しい。

文部科学省、教育委員会の偉い人たちは、教育者であり、子供たちのことを一番に考える立場の人たちだと信じている。過去20年のデジタル化への対応が大失敗だったことを責めても仕方ないが、難しい理屈を言って従来のやり方を続けることを正当化するのではなく、問題があるとしても、柔軟に対応し、新しいことにチャレンジしようとする現場をサポートして欲しいと思う。

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