篠原金融塾 グローバルマーケット(週次)
米中間の緊張が高まっている。中国政府は、香港に特別行政区基本法に基づく国家安全法の迅速な制定を義務付ける新たな法案を全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に提出。これに対し、ポンペオ米国務長官は「横暴かつ破滅的」で、香港の自治の「終えんの前兆」と非難したほか、トランプ米大統領は、米国は「極めて強硬に」対応すると警告した。
米中間の緊張の高まりによって、米国債券市場では、週末に向けて長期ゾーンの利回りが低下。リスクオンの動きが一服している。主要株価指数は数カ月ぶりの高値から下落したものの、週間の上昇率はダウが3.3%、S&P500が3.2%、ナスダックが3.4%と堅調に推移している。新型コロナワクチンや制限措置の緩和を巡る楽観的な見方が追い風となっている。
マーケットを見る時に、日本人である我々は、ワクチン若しくは治療薬が開発されないと心配だととても悲観的に世の中を見ているということを理解したほうが良い。何で引き続きあんなに感染者のいるアメリカが経済再開できるのかと考える日本人投資家が太宗だ。アメリカ人は、経済が再開できるのは、新型コロナウイルスの危険性を国民が理解し、今後ウイルスと共存していくために必要な対応をとるので大丈夫だと考える。
アメリカ人の考え方が、思慮深くなく駄目だということもなく、日本人の考え方は慎重すぎて話にならないということでもない。確かに根拠もなく大丈夫だと言っていたらとんでもないことになる。一方で一歩も外に出ないで自粛するのも限界がある。
世界的にはどうやって経済を動かすかがテーマになっているので、リスクオンの展開が始まっている。医学的、科学的にはどうだがわからないが、日本も6月は経済再開を受けてリスクオンの展開が予想される。リスクは、新型コロナ感染第2波。その話だけであれば、その対応について市場の注目は集まるだろう。しかしながら、第2波の報道に米中関係緊張の話が加わると一気にリスクオフムードが高まる可能性もあり、留意の要。
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