暇なときに レンブラントチューリップ 5/8/2020 金曜日
日経新聞では、公認会計士・作家である田中靖浩氏の経済でみる名画という連載が始まったが、これもなかなか面白い。今日は3回目でオランダ人のレンブラントだ。
当時オランダと言えば、オランダの取引所で縞(しま)模様チューリップが熱狂的な価格高騰の末に暴落、世界初のバブル崩壊となったことは良く知られている。それとレンブラントに何の関係があるのだろうか?
「スペインとの戦いの末に独立を勝ち取った新教の国オランダは建国後「ノーサイド」を宣言、商売人を宗教に関係なく歓迎する「寛容」の姿勢を示した。レンブラントの「織物商組合の見本検査人たち」という作品にはカトリックとプロテスタント各宗派の幹部が並んでおり、そこに寛容の精神が表れている」そうだ。
知らなかった。バロック絵画を代表する画家としては、カラヴァッジョ、ルーベンス、ベラスケス、プッサン、フェルメール、そしてレンブラントらの名前があげられる。日本では、同じオランダ人の「フェルメール」が有名な気がするが、私の中では、「光と影の画家」「光と影の魔術師」と言えば、レンブラントだ。
随分昔の話だが、私はロンドンに住んでいた。ロンドンのナショナルギャラリーに行ったときに、たまたま開催されていたのが、レンブラント展だった。1992年の話だ。その作品に魅了されたことをよく覚えている。
レンブラントの作品の前に立った時、暗く静かなギャラリーの中が作品の中にさす光で明るくなった。細やかな一本一本の線の美しさにため息しか出なかった。作品の前を離れることが出来なかった。
彼の作品は悲しげで、暗い感じのするものが多いかもしれない。でも私の眼に飛び込んできた一枚の自画像の彼の顔は光輝いていて、微笑んでいた。とても素敵な一枚だった。
朝から晩まで必死に働いていたあの頃。本当によく怒られた。怒られることはあっても褒められることが殆どない時代。一人前のトレーダーに絶対になってやると頑張っていた自分。週末にはよくひとりで美術館に行った。辛いことも沢山あったが、美術館で美しいものを見ると気分が晴れた。何かが光り輝けば、必ず影が出来る。日々必死に頑張っていた時に出会った彼の作品が私に力をくれたのは間違いない。3ポンドで美味しいワインがボトルで買えた時代に、20ポンド(当時1ポンド=300円)出して買ったレンブラントの作品集は今でも大切にしている。
レンブラントは若い時から大成功した人だと思っていたが、不遇な晩年を送ったらしい。オランダで咲く縞模様のチューリップ。現在それはレンブラントチューリップと呼ばれているそうだ。今度花屋さんに行ったら、レンブラントチューリップありますかと尋ねてみよう。
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