暇なときに 4/16/2020 木曜日

掃除をしていたら、賞状の筒が出てきた。小学校・中学校・高校・大学の卒業証書に加えて、随分昔の賞状が出てきた。昭和56年第3回文部省認定毛筆書写技能検定3級に合格した時の賞状だ。高校3年間書道を習っていたが、その時の先生から受けてみろと言われて素直に受けたのが毛筆書写技能検定試験だ。

何だ3級かと思う方もいるかもしれない。でもこの試験、実は日本で唯一の毛筆に関する技術と知識を審査する技能検定で、毛筆の実技に加えて、知識を問う問題もあり、結構難しかったのを覚えている。

書道何段とかよく聞くことがあると思うが、あれは実は国家資格でもなんでもない。各学会での決まり事だ。私も文化書道学会では最高段を取得している。それでもこの毛筆書写技能検定は比較にならないくらいとても難しかったのを覚えている。どうやら今でもこの検定試験はあるようだ。

実は私の父、祖父、叔父たちは書道家ではないが、字を書くプロだった。そんな環境下、私は3歳頃から本格的に書道を習っていたがとても楽しかった。

「元気があってよろしい!」「面白い字を書くね!良いね!」

今から思えば決して上手かった訳ではないだろう。だけど褒められるのが嬉しくて、父に見せた後に近所に住んでいた祖父、叔父たちにわざわざ見せに行ったのをよく覚えている。

祖父が必ず言ってくれた言葉は、「どれどれ見せてみろ。上手い!」

祖父は書道の達人だった。行書を教えて欲しいと祖父に頼んだことがある。祖父は、まずは楷書をきちんと勉強しなさいと言いながらも、王羲之(おうぎし)が書いた書道史上最も有名な「蘭亭序」をみせてくれた。祖父にはもっと色々教えてもらいたかったが、残念ながら私が小学2年生の時に他界してしまった。それでも高校生の頃に、楷書を書くことに夢中になったのは、祖父の影響だろう。虞世南(ぐせいなん)・欧陽詢(おうようじゅん)、そして楷書における最高傑作だと私が勝手に思っている褚遂良(ちょすいりょう)の「雁塔聖教序」を見ながら何度も練習したことは良い思い出だ。

今ではもっと沢山の選択肢があるのかもしれないが、当時は大学で書道を勉強したいのであれば、大東文化大学の書道学科、若しくは二松学舎大学の書道専攻のどちらかだったと記憶している。

毛筆書写技能検定にも合格したし、自分は芸術家として生きていくために、学問として「書」を究めたいのかと真面目に考えたものだ。結果的には書道で食べていくのは大変だろうという単純な考えで、経済学を勉強することに。そして金融の道に進むことになったが、今の時代だったら、もしかしたら書道を選んでいたかもしれない。

ということで、緊急事態宣言下、久しぶりに書道でもやってみようかと思っているが、今のところ筆、墨、半紙、文鎮、など何も見つかっていない。家のどこかに端渓石で作られた最高級の硯もあるはずだ。外出を自粛しているので買いに行くわけにはいかない。探してみよう!

書道の楽しさは、まずは墨を摩ることだ。硯(すずり)という字は、石を見ると書く。まずは石を見て墨を摩ることを楽しむのが書道なのだ。墨汁は便利だが、書道の楽しみが半減する。墨はとても貴重なものなので、硯に水を少しだけ垂らし、墨を摩る。すると何とも言えない良い香りがしてくる。それを楽しみながらいよいよ筆に墨を含ませる。

串かつのようだが、書き始めたら、きりの良いところまでは基本2度づけはしない。字のかすれ方も書道の楽しみのひとつだ。

道具がそろったらどんな字を書こうか考えているが、ひとつだけ決めていることがある。上手くても下手でも自分を褒めてあげようと!

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